▼配信54 ページ15
『…おはよ。ごめん、昨日のあんま、覚えてなくて』
ut「ええよ、気にせんで」
『グルちゃん、いたのは覚えてるし、何があったのかも分かってんだけどあんま理解追いつかんというか……、グルッペン、いつ、来たんやっけ…速報の文字見たんやけど、あ、テレビだっけ……テレビ割っちゃったんだっけ』
言ってる事がめちゃくちゃだった。
寝起きというせいもあるが、これはちょっと。
割ったのはテレビじゃなくて、A自身の携帯やし。速報の文字は携帯画面にあったニュース記事だ。頭の中がごちゃごちゃなのだろう。
gr「A、そんな格好じゃ冷えるからこっちに座れ」
Aの言葉を遮ったのはグルッペンの方だった。ぴたりと固まったAは、徐々に脳が覚醒してきたらしく、深く呼吸をしてからグルッペンの隣へ座った。
ut「ココアでも淹れよか」
『うん、ありがと鬱くん』
ut「ん、待っててな」
大丈夫。大丈夫。
Aはしんでない。生きてる。壊れてなんかない。今こうやってちゃんと会話ができているから大丈夫だ。
俺は自分に言い聞かせながら少し震える手を押さえて何食わぬ顔でココアを淹れて、それからAに手渡した。ほっと一息ついた彼は、コップをテーブルに置いて『ごめん』と消え入るような声で口を開いた。
gr「謝る事ない、Aのペースでええからな。メンバーには俺から伝える」
『…うん』
gr「Aも同席するか？」
『………うん』
ありがとう、と無理に笑おうとするAの頬を無理矢理押さえて、グルッペンは口を尖らせた。
gr「お前、無理に笑おうとするからこうなるんだよ。俺はお前の上司でも先輩でもない、ただの友達だろうが」
あまりにも鋭すぎる発言にグルッペンを止めようとしたが、Aはきょとんとして、それから笑い始めた。今度は屈託ない笑みで。
それで、俺はやっと気がついた。怖いだとか何だとか、どう接すればいいのだとか。グルちゃんみたく、普段通りになんら変わらず、そうしてやるのがいいのだと。
俺の震えは、いつのまにか止まっていた。
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コム＠ヘラ鳥推し(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!! (2022年12月10日 13時) (
レス) @page25 id: 3acc1adf96 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - 完結お疲れ様でした！話の内容や書き方、全てにおいて好みでとても楽しく読ませていただきました。これからも頑張ってください！ (2022年12月10日 11時) (レス) @page25 id: ed9e6e4b74 (このIDを非表示/違反報告)
にの - 長い間、お疲れ様でした。零さんのお話の書き方はとても丁寧で読みやすかったです。これからも応援させていただきます。 (2022年12月9日 21時) (レス) id: 11a3c31381 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - 沢山の更新嬉しいです、ありがとうございます!! (2022年11月30日 7時) (レス) @page12 id: ed9e6e4b74 (このIDを非表示/違反報告)
にの - この作品の主人公くんが大好きです。更新お待ちしてます！ (2022年11月19日 18時) (レス) @page5 id: 11a3c31381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2022年9月10日 14時
