【d!】君、本性を現したね

▽悪夢の再来32 ページ33

なんてまぁ、自意識過剰なのだろうか。

出かけた言葉をギリギリ飲み込んだ。幼馴染だからやりにくい、という方がきっとあっているのに。それでもどこか頼られなかった自分に少しだけ嫌な思いがして、そしてまた柳谷にも申し訳ない気がしてきて頭の中はぐるぐると回り始めた。


yng「(どうせなんで自分じゃ無いのかとか思っとるんやろうな)」

『な、なるほど…な、？？』

yng「(可愛い奴め)」


なぜだか優しく頭を撫でられより一層わけが分からなくなった。


yng「まぁ、なんでかは本人に聞いたら?」

『はぁ〜？？聞けへんから柳谷に頼っとるんやけど』

yng「自分でケジメつけるんが男やろ」

『女ですけど』

yng「細かいこと気にすると良く無いで」


んじゃそろそろ次の講義やから、と行こうとする柳谷の手を引いて引き止めた。誤解は解けたとはいえ、どうにも申し訳なさが残ってしまって。

偽装だかなんだか知らないけど、トントンと柳谷が付き合ったと聞いて素直に喜べなかったのは事実。それが引っかかったままで、私は柳谷をまともに見れていない。
きっとそれを柳谷も知っている。
だから、このまま別れてはもう二度と彼女の顔を見られない気がして、



『なぁ、柳谷』



ぱっと振り返ったマブの顔は変わらず優しい。

その顔がどうにも直視できなくて、目を逸らそうとした時



yng「大丈夫やで、A。ウチらマブやろ」



晴れやかな笑みで、今度は柳谷が私の手を握った。




『まじで、ほんまにおまえは…』
yng「はは、泣くな泣くな。大丈夫やから、むしろ心配させたこっちが申し訳ないわ」
『男前やなあ柳谷』
yng「女やからな。桃瀬アイツは許さへんぞ、マブ泣かせた罪は重いで」



なんだこのイケメンは、と思いながら素直に頭を撫でられた。



yng「温泉、楽しめるとええな」



そう言って、マブは今度こそ講義室を出て行った。

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