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「クラ、大丈夫か」
「きもちわるいのなおった?」
「疲れたよね」
3人が来ると、少し身体の力を抜いた。松田くんがぎゅっとそばに寄ると、難しい顔をする。
「ちょっと熱くない?」
「うん。熱も出てきちゃったね。お兄さんにこっちに来てもらうように連絡するから、ちょっとここにいてくれる?」
「りょーかい」
端に置いてある机で、お兄さんに電話をかける。もう校庭にいるので、すぐにいきます、とのことだった。
「松倉くん、お兄さんもう校庭にいるからすぐ来れるって。みんなもお迎え来てるんじゃない?松田くんと宮近くんは自転車?」
「そー。そろそろ行くかー」
「あ、俺も母さんから連絡きてた。クラ、また来週ね」
「ゆっくり休めよ!」
「松倉、またね。連絡するね」
涙は止まらなかったけど、最後にはなんとか顔を上げて、3人に手を振る。それと入れ替わるようにお兄さんがやってきた。
「すみません、ありがとうございました」
「いえいえ、1日頑張りました。さっきまでお友だちもいたんです。すれ違いませんでした?」
「はい。声をかけてくれました」
「そうですか。よかった。松倉くん、忘れ物ない?ちょっとお熱も出てきてしまったので、お家でゆっくり休んでくださいね」
「いつもありがとうございます。海斗、行こうか」
小さく頷いて立ち上がり、ありがとうございました、と言うことができた。
「また来週ね。さようなら」
「さよ、なら」
お兄さんに殆ど寄りかかるようにして保健室を出て行く。今日はきっと、彼にとって大きなステップになった。辛いこともあったけど、楽しい思い出だけが心に残ることを祈って、職員室に戻った。
--遠足--
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イカ(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます!好きと言っていただけて、嬉しいです。これからも不定期になってしまうかもしれませんが、更新を続けていきたいと思っているので、今後もよろしくお願いします! (2022年7月15日 6時) (レス) @page46 id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - このお話、みんなあったかくて大好きです!何回も読み返すぐらいファンなので、更新楽しみにしています!! (2022年7月15日 5時) (レス) @page46 id: 660cb7e6f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年6月27日 21時