遠足�� ページ40
・
Kaito
「水族館だって！楽しみだなぁ〜」
ワンテンポ遅れてプリントを読み終わった元太が嬉しそうに行き先を調べる。
「元太、遠足好きそうだね」
「大好きだよ！出かけるのも楽しいし！俺みんなと一緒にいるの好きだからさー。行けるよね？」
「俺は、行くよ。今までは行ってなかったけど、一緒に回ってくれるんでしょ？」
「当たり前じゃん！」
「俺寝ちゃうかもしれないよー」
「そしたらベンチかなんかに寝かせておくよ。適当に迎えに行ってあげる」
「あ、それいいね。ありがたいわ。でも最近、歩いてたりすると平気なんだよなー。薬があってきたのかなー」
3人がが話しているのを見て、自分の心が揺れるのを感じる。遠足は、ほとんど参加したことが無かった。
「かいとは？」
元太の真っ直ぐな眼差しが、俺の瞳を捉える。どうすればいいか分からなくなって、また、いつものように涙が流れてしまう。
「え？かいと？ごめん！！」
「ち、が、」
「元太、落ち着いて。松倉、考えてたんだよね？元太が悪いとかじゃないよね。大丈夫、分かってるよ。考え、纏まらなくなっちゃった？」
ちゃかの、ゆっくりとした、優しい言葉が少しづつ理解できて、ゆっくり頷く。
「大丈夫だよ。俺もさ、中学の時は一度も行けなかったし、高校も行かないつもりだったけど、、、なんか、やっぱり行きたくなってきちゃった。松倉は？行ってみたい？」
そう聞かれると、考える前に頷いていた。それでやっと、自分は行きたかったんだと気づくことができた。
「いきたい？無理してない？」
恐る恐る聞いてくる元太に頷いて、でも行きたい気持ちと同じくらい不安になってしまって、なかなか涙が止まらなかった。
「ほら、七五三掛先生と吉澤先生も引率に名前入ってるし、しんどくなったら助けてくれるよ」
「そーだよ。それでもさ、もし、当日やっぱ無理ってなったら、遠足は休んでさ、調子いい時に4人で行けばいいじゃん。楽しかったらなんでもよくない？」
その言葉にまた頷く。見慣れない動物も、バスも、人混みも、場所も、全てが不安で、でも、楽しむために行く、と言うことが海人の言葉でやっと分かった。
「落ち着いてきた？」
「ごめん、」
「だいじょーぶ！」
「そうだよ。もし疲れちゃったら医務室とかで俺と寝よう」
「そうだ、それがいいね」
優しい友人たちの言葉に頷いて、大切にプリントをファイルにしまう。なんとか自分で涙を拭いて、回ってきた名簿に丸をつけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「TravisJapan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イカ(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます！好きと言っていただけて、嬉しいです。これからも不定期になってしまうかもしれませんが、更新を続けていきたいと思っているので、今後もよろしくお願いします！ (2022年7月15日 6時) (
レス) @page46 id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - このお話、みんなあったかくて大好きです！何回も読み返すぐらいファンなので、更新楽しみにしています！！ (2022年7月15日 5時) (レス) @page46 id: 660cb7e6f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イカ | 作成日時：2022年6月27日 21時
