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「オレンジ色が好きなの?」
明るい色の持ち物が多いので聞いてみると、小さく頷いた。
「そうなんだ!いいね。先生は、黄色が好きかなー。あ、そうだ。お兄さんからのお手紙で見たけど、松倉くん塗り絵が好きなんだよね?授業中はできないけど、休み時間とか、こうやって保健室で少し休憩するときにやってもいいから、今度持ってきてみたら?」
そういうと、少し間があって頷いた。集中して、落ち着くことができるものがあれば、少し気持ちも変わるかもしれない。
「七五三掛先生がやっといてって言ってたから、計測しちゃおっか。頑張れそう?」
また小さく頷いてくれたので、ゆっくり計測をして、ホームルームは参加することができた。人波に呑まれてしまっても可哀想なので、また昨日と同じように少し待ってから、教室を出た。お兄さんにも少し話したかったから、一緒に駐車場まで歩いて行った。
・・・
Noel
「ありがとうございました」
「松倉くん、さようなら。また明日ね」
先生と話している間は微動だにしなかったが、吉澤先生がさようなら、というとペコリと頭を下げた。
「帰ろっか。すごいね。教室でもお話聞けたんだね」
先生に言われたことを出来る限り繰り返して、これでもかというくらい褒めた。なにも言わないかなと思っていたが、家に近づくと、海斗が口を開いた。
「のえる」
「んー?」
「あのね、欲しいものがあって」
「え?なに?珍しいね」
「学校に、、塗り絵、持ってきてもいいんだって、、、中学校は、ダメだと思って持っていかなかったけど、、吉澤先生が、保健室でやってもいいって言ってくれて、、だから、色鉛筆、学校に持っていけるやつが、、欲しいの。前に持ってたやつは、蓋が壊れちゃって、中も使っちゃった」
海斗の色鉛筆セットはなかなかの重さで、長めに入院するときは持って行くが、特に最近は基本家から出ないので必要がなかった。海斗が何かを欲しいと自分から言うことはあまりないので、嬉しくなってしまう。
「そっか。わかった。じゃあ、画材屋さんに寄ってから帰る?お腹空いてない?」
「大丈夫」
「じゃあ、行こうか。僕もお昼休み終わるまでまだ時間あるし。先に行っちゃおう」
家の近くの、小さな画材屋さんに向かう。数少ない、海斗が好きな場所のひとつだ。
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イカ(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます!好きと言っていただけて、嬉しいです。これからも不定期になってしまうかもしれませんが、更新を続けていきたいと思っているので、今後もよろしくお願いします! (2022年7月15日 6時) (レス) @page46 id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - このお話、みんなあったかくて大好きです!何回も読み返すぐらいファンなので、更新楽しみにしています!! (2022年7月15日 5時) (レス) @page46 id: 660cb7e6f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年6月27日 21時