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Kaito

朝起きた瞬間から身体も頭も疲れていて、とても学校に行ける気分じゃなかった。でも、如恵留はお仕事だし、学校にいなきゃいけないこともわかるから、自分の中では、一生懸命頑張って準備をした。座っているだけでも苦しくて、朝ごはんは食べられなかった。でも薬だけは飲まなきゃと思って、袋に入った薬を流し込んだ。

「いってらっしゃい」

車から降りて、如恵留に手を振って、学校に向かって歩くと、すぐに車は校門を抜けていった。如恵留から離れると怖くて、不安で、涙が止まらなくなってしまう。自分がひとりで外にいることも怖いし、一緒にいない間に如恵留に何かあったらと思うともっと怖い。でもいつまでもそこに立ち止まってるわけにもいかず、昨日吉澤先生に教わった通りに、昇降口に向かった。通り過ぎていく同じ制服を着た人たちの動きが怖くて、上履きをを履いて、階段をなんとか登り切ったところで、足が動かなくなってしまった。怖くて、如恵留に会いたくて、不安で、呼吸が乱れる。

「あれ、大丈夫?」

誰かが声をかけてくれたのがわかったけど、その優しさを受け入れることもできずに、ただ泣き続けることしかできなかった。


・・・

Shizuya

「先生、1年生が階段のところで泣いてるよ。声かけたけど無理そうだった」

「ありがとう。今行くね」

職員室まで言いに来てくれた3年生にお礼を言って、昇降口から続く階段へ走る。おそらく、泣いているのは松倉くんだろう。今日は遅刻か休みかと思っていたけど、お兄さんは頑張って連れてきてくれたようだ。例え1日保健室でも、松倉くんの将来のために、毎日来るということは、とても重要だと思う。

「しめ、保健室に1人連れて行くと思う」

『りょーかーい』

一応保健室に連絡を入れて目的地に辿り着くと、登校してくる生徒が気にしつつ歩く通路の端で、松倉くんが下を向いて涙を流していた。

「松倉くん、おはよう。カウンセラーの吉澤先生です」

声をかけると、ゆっくり顔を上げる。その顔色は真っ白で、でも目は真っ赤に腫れていて、随分長い時間泣いていることが分かる。

「昨日の帰りしんどそうだったから、心配してたんだ。でも、朝から来れてよかったよ。一回保健室行って、顔洗ってこよう?」

背中を支えるとゆっくり歩き出して、でも、保健室の前で足を止めてしまった。

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イカ(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます!好きと言っていただけて、嬉しいです。これからも不定期になってしまうかもしれませんが、更新を続けていきたいと思っているので、今後もよろしくお願いします! (2022年7月15日 6時) (レス) @page46 id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - このお話、みんなあったかくて大好きです!何回も読み返すぐらいファンなので、更新楽しみにしています!! (2022年7月15日 5時) (レス) @page46 id: 660cb7e6f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イカ | 作成日時:2022年6月27日 21時

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