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大人向けの、細かい塗り絵コピーして、それと一緒に50色の色鉛筆も持っていく。
「はい!どうぞ。疲れたら休憩してね」
小さく頷くと、慣れた手つきで色鉛筆を開ける。そして独特の配色で色塗りを始めた。海斗は昔から塗り絵が好きで、家でも良くやっているらしい。何も考えずに、自分だけのペースで出来るのが楽しいのだろう。実際、不思議な色合いだけれど出来栄えは素晴らしくて、もしかすると、海斗にはこういう風に見えているのかもね、とあべちゃんが言っていた。
「さっくん、ちょっとお仕事してくるね」
そう声をかけると小さく頷いて、目を合わせて手を振ってくれた。やっと、海斗と目が合った。
「ありがとうね〜」
そう言ってその場を離れる大急ぎで報告書を書いて、他の子の対応や雑務をこなした。
・・・
「海斗くん、あべちゃん先生とお話の時間にしてもいい?」
そう聞くと頷いて、色鉛筆を片づける。
「すごい綺麗。上手にできたね。続きまた後でやっていいからね。横に置いておきましょう」
うんうんと頷いて、テーブルの端に置く。
「海斗くん、学校のこと、聞いてもいいかな」
「はい、」
「学校で、辛くなったときに助けてくれる人はいる?」
「カウンセラーの吉澤先生と、保健室の七五三掛先生。でも、、他の先生も、、みんな、優しい」
「そうなんだ。中学校とは、違う感じする?」
「うん、、授業、、辛かったら、全部教室じゃなくていいよって言ってくれる」
「辛くなっちゃう?」
「ん、、辛いのか、、分かんないけど、、なんか、やっぱり、、人、、たくさんいると、怖くなっちゃって、、涙、出ちゃう、、、昨日は、教室行けなかった、、」
「そっかそっか。でも今週は入学式から1日もおやすみしなかったんでしょ?すごいじゃん。よく頑張ったよ」
「でも、、できてないよ、、」
「大丈夫。少しづつでいいんだよ。海斗くんの、苦手なことちゃんと分かってくれる先生がいて、よかった」
「朝も、、泣いちゃうの、、怖くて、、泣きたくないのに、、吐いちゃうし、、」
「そっかそっか。それがね、全部急になくなることは、難しいかもしれないけど、学校に慣れて、学校で楽しいこと見つけられたら、少しづつ、大丈夫になっていくと思うよ。そうだ、来週の1週間で、楽しかったことを次の通院日に教えてよ。先生知りたいなぁ」
「わかっ、た、、」
「無理しなくていいよ。見つかったら教えてね。学校から帰ってきてからはどう?」
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イカ(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます!好きと言っていただけて、嬉しいです。これからも不定期になってしまうかもしれませんが、更新を続けていきたいと思っているので、今後もよろしくお願いします! (2022年7月15日 6時) (レス) @page46 id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - このお話、みんなあったかくて大好きです!何回も読み返すぐらいファンなので、更新楽しみにしています!! (2022年7月15日 5時) (レス) @page46 id: 660cb7e6f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年6月27日 21時