遠慮 ページ8
○目黒side
ちらり、と部屋の時計を見あげる
…18時25分
さっき見たときから、まだ5分しか進んでない
時計を確認する度に、あまり進んでない針にもどかしさが募る
昼過ぎにやっと返ってきたメッセージには、 【会議があるので、19時ごろに帰ります】と書いてあった
【迎え行く】と送ったメッセージには、既読さえついていない
今日はどこで会議なのか知らないし、返信がない以上俺はもう待つしかないんだけど。
…なんで、返信しねぇんだよ
1人で待つ時間が、途方もなく長く感じる
ほんとに、帰って来るよな？
あまりにも静かすぎて、それさえも疑ってしまう
少し不安になって、Aとのトーク画面を開けば、間違いなく【帰る】っていう文字がある
それを見るだけで、ホッとした
…余裕、ないな
スマホを切って乱雑にテーブルに置く
カタン、という音がリビングに響いた
気を紛らせるように、ソファーの上に放置してある上着とかを何となく畳んでみるけど、それをクローゼットまで運ぶほどのやる気はでない
というか謎の緊張で、他のことに手をつける余裕もないし。
はぁ、と息を吐いてソファーに沈む
…Aは何を考えてるんだろ
帰るって言っても、それがいい意味だとは限らない
もしかしたら、別れるつもりだって…、
そこまで考えて、嫌な考えを断ち切るようにソファーから立ち上がる
一瞬想像しただけなのに、胸が切り裂かれたようにジクジク痛んだ
『…それが、ありえるんだよな』
独り言が、重く響く
…はやく、会いたい。
時間が経つにつれて、Aの考えが固まってしまいそうで、
俺の見えないところで、何か吹き込まれてるんじゃないかって、焦る。
すがるように視線を向けた時計の針は、まだ全然進んではいなかった。
.
.
インターホンの音で反射的に立ち上がる。
急いでモニターを見れば、Aが不安そうな顔で立っているのが見えた
…合鍵、使えばいいのに。
そんな少しの遠慮も今は距離を感じるのがキツくて、すぐにドアを開けに向かう
『…おかえり』
ドアを開けると、モニターで見た通り不安そうな表情で俺を見上げるAがいた
離れてたのなんて、1、2日程度なのにすごく久しぶりに感じる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6683人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
pupi(プロフ) - 一気に読ませていただきました！感情移入しまくりました(´；ω；｀) (2020年7月11日 17時) (
レス) id: 019254c1d1 (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - kinakarenさん» コメントありがとうございます！作品から伝えたいことをたくさん受け取ってくださって、すごく嬉しいです…！お読みいただいて、本当にありがとうございました！ (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - あやさん» あやさーーん！！！毎回更新の度にくださるあやさんのコメントが大好きでした！あやさんは私のモチベです！是非これからもよろしくお願いしますー！！ (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます！投稿を楽しみにしてくださって嬉しいです…！こちらこそ本当にありがとうございました！！ (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - あおこさん» コメントありがとうございます！！楽しんでいただけて、本当に嬉しいです！！ (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やん
| 作成日時：2020年5月12日 20時
