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○宮舘side
『お疲れ』
ラウンジの隅のソファーに1人座る阿部に声をかける
阿部は俺の声にピクッと反応して、ゆっくり顔を上げた
阿部「…あぁ、お疲れ」
そう言って少し笑った阿部の顔は明らかに曇ってる
その表情で、なにがあったかは大体わかった。
何も言わずに阿部の正面に座ると、首を傾げてじっと見られる
阿部「用事?」
『用事っていうか…あー…まぁそんなとこ』
曖昧に答えると、阿部は訝しげに眉を潜めた
何から言えばいいんだろ…。
午前中、目黒と康二と撮影だったふっかからメッセージがあった
要約すれば、【阿部どうにかして】って言う内容。
どうにかって…
まぁ、言いたいことは分かるけど。
阿部「うまく、いかないね」
何も言わない俺に痺れを切らしたのか、阿部がそう口を開いた
その声はどこか寂しげで、消えそうなくらい儚い
『…なにが?』
阿部「人の気持ちを変えること」
視線をどこかに向けたまま、ぼうっとそう言う阿部が心配になる
危うい感じがして。
『…恋の駆け引きで、相手の気持ちを変えるのはいいと思うよ』
そう言うと、阿部と目が合う。
その目には負の感情が渦巻いているように見えた
『でも阿部がやってるのは、相手の感情を否定して、崩すことだよ。頼りどころが自分しかないようにボロボロに崩してる』
そう言えば、阿部はくすっと笑った
目は笑ってないのに、口は笑ってる。
阿部も、限界なんだろうな。
手に入れたくてどうしようもないのに、手に入らない。
その気持ちが、わからないわけじゃない。
阿部「そうだよ?そうしてたからね」
阿部はそう言って、テーブルの上に備え付けられている飴を手に取った
ぶどう味
いつか阿部にも教えたことがある、フルーツの花言葉。
…阿部がそこまで考えてるのかは、わからないけど。
『Aの気持ち考えたことあるの?』
そう尋ねると阿部は、ははっと笑う
その声は、どこか痛そうだった
阿部「あるよ。目黒といたらAはこれから先幸せになれないってわかってた。だから、2人を離さなきゃって…」
そこまで言って、阿部の目から涙がこぼれた
つーっと頰を辿った涙は、一筋の跡を残して下に落ちる
本人は、気づいてない。
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pupi(プロフ) - 一気に読ませていただきました!感情移入しまくりました(´;ω;`) (2020年7月11日 17時) (レス) id: 019254c1d1 (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - kinakarenさん» コメントありがとうございます!作品から伝えたいことをたくさん受け取ってくださって、すごく嬉しいです…!お読みいただいて、本当にありがとうございました! (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - あやさん» あやさーーん!!!毎回更新の度にくださるあやさんのコメントが大好きでした!あやさんは私のモチベです!是非これからもよろしくお願いしますー!! (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます!投稿を楽しみにしてくださって嬉しいです…!こちらこそ本当にありがとうございました!! (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
やん(プロフ) - あおこさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて、本当に嬉しいです!! (2020年5月27日 11時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やん | 作成日時:2020年5月12日 20時