�犖記瓮�ノがモテている。5【黒】

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『…亮平くんは、助けてくれてるだけだよ』






慣れないリモートワークのこともそうだし、相談だっていつものってくれるのは亮平くんだ



　

仕事とか取っ払っても、すごく大切な人







『亮平くんのこと、そんなふうに言わないで』






そう言うと、蓮はくっと眉間にシワを寄せて、手に力を込めた




蓮の雰囲気が、少しだけ怖い








目黒「…俺のこと、頼ればいいだろ」


　




近くでこぼされた低い声が耳に響く







目黒「俺器用じゃねぇし、すげー力があるわけじゃないけど、大事な女、守れるくらいの力はあるよ」







はらはらと落ち着く声で紡がれるその言葉に、目の前が揺らぐ





立場の違いとか、責任の重さとか、そんなものを隠れ蓑にして逃げてた現実を突きつけられたような気がして。









目黒「…気づかなくて、ごめん」





『…なに、』







言葉の意味を聞き返そうとすると、ふわっと頭に手が乗せられて体が固まる
　




久しぶりの蓮の手は大きくて、やけにあったかかった。









目黒「信じて待つのも、苦しかったんでしょ」








優しくて低い蓮の声で、その言葉が紡がれるのと同時に自分の頰に雫が伝う







…そっか、私、信じるのが怖かったんだ。






パチパチと瞬きをするたびに溢れる雫を、ぼんやりと眺める








好きだから、いろんなことが怖かった。




表側にいけない自分には、どうしても踏み込めない場所がある。




そこでなにが起こっても、私は知ることなんてできなくて。






いつか、捨てられるんじゃないかって。




幸せなんて、すぐに消えるんじゃないかって。





蓮が大きくなるたびに思ってた。









目黒「…ヤだったよな。

俺が知らないとこにいて、見えないとこでいろいろ起こってたのとか」









眉尻を下げて優しい顔で私を見る蓮に、ぽろぽろとこぼれ出した涙が頬を伝い、落ちる




それを指先ですくってくれる蓮は、笑ってるのに目が苦しそうで胸がギュッとする






…やだ。



蓮を選んだら、また苦しくなる時が来る




苦しませてしまう時がきっとくる。






亮平くんにも何度も言われてるし、それは確かに事実だと思う




なのに。そこまでわかってるのに、いま目の前にいる蓮を振り払えない









『…もう、終わったんだよ』





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