プロローグ ページ1
「たつや!見て見て!」
柔らかい声が耳に響く
スマホの画面を見せながら、俺の横にぴったりと座ってきたAの肩に自然と手を回すと、無意識なのかすり寄ってきた
『なんだよ』
そう言ってスマホの画面を一緒に覗き込むと、Aの髪がかかって見えない
なんかあるっけ…あ。
近くにあったヘアゴムを手に取り、適当に髪を束ねてやる
そんな俺に気づくことなく、楽しそうにスマホを見るAに口角が緩む
なにをそんなに見せたいんだろ
じっと、スマホを見ると、そこに写っていたのは紛うことなき俺の顔
えっ!?
一瞬戸惑うけど、もう一度画像を見て気づく
これ、この前収録した番組の予告だ。
『そー、このバラエティ今度出るの』
「ほんと!?見なきゃだ!」
そう言って画面をスクロールするAの表情は楽しそうで、俺まで嬉しくなる
元々幼なじみでアイドルに全く興味がなかったAが俺と付き合い始めてから、立派なSnowManファンの俺担になったのは最高に嬉しい
メンバーには話してるけど、会わせたことはない
こんな可愛い子絶対好きになるし、Aが他のメンバー担になったら嫉妬で狂う。
「そうだ、明日私たつやの家来れない」
『え、なんかあんの?』
俺がオフの日にAが家に来ないのは珍しい
てか、寂しい
「地方で仕事入ったの」
『…あーそっか、そりゃ仕方ないな』
アイドルの衣装デザイナーをしているAはかなり多忙だ
かなりの頻度で地方を飛び回ってる
俺の彼女、めちゃめちゃかっこいい。惚れる。
『がんばれ』
そう言って頭をポンポン叩くと、Aは頰をぷくっと膨らませた
あー可愛い。
「行きたくないなあ」
『とか言って、行ったら楽しくて堪んないんでしょ』
「そりゃまぁそうだ」
そんな会話をしながら穏やかないつも通りの時間が過ぎていく。
…今思えば、ここで止めていればよかったんだ。
でも、今更後悔しても、もう遅い。
この日が、俺たちが恋人として過ごした最後の日だった。
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やん(プロフ) - レモンミルクさん» 変換ミスしてました。ご指摘ありがとうございます。 (2020年3月30日 1時) (レス) id: d6435a702c (このIDを非表示/違反報告)
レモンミルク - ページ3の深澤辰哉の哉が違いますよ。也ではなく哉です。 (2020年3月30日 1時) (レス) id: 1ff24063f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やん | 作成日時:2020年3月26日 12時