涙時計（blue） (ページ8)

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◇透明度120% ページ8

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なんだかんだで英語、世界史と
2時間の授業が終わって。

残すは憂鬱過ぎる美術だけとなった。

忠義と信ちゃん(そう呼ぶように脅された)は
突然サボりに行くとか言い出して、
あたしも誘われたんだけど。

登校初日からサボるのもなんだか気が引けたから、
大人しく授業を受けることにした。

はぁ、あたしって本当エライ子。

授業は3階の美術室で行なわれるらしく。

適当にクラスメイトの流れについていって、
適当に空いてる席に座った時。

トントン、後ろから小さく肩を叩かれた。

「…あの…」

振り向くと、スラリとした女の子が立っている。

小さな顔に涼しげな目元、
まばゆいばかりに溢れ出す透明感。

ひと目見た瞬間にわかった。

クラスの前列の席でマジメに授業を受けていた、
あの清楚な黒髪の女の子だ。

「隣、座ってもいいかな？」

『えっ』

思わず大きな声が出る。

それにびっくりしたのか
黒髪ちゃんは目を見開いて固まってるけど
たぶんあたしの方がびっくりした顔してると思う。

まさか、あたしには縁遠い存在であろう彼女に
話しかけられるなんて思ってもなかったから。

「あ…ごめんね、ダメだったかな？」

『いっ、いやいやいや！全然！どーぞ！！』

慌てて言い足せば嬉しそうにふわっと笑って
あたしの隣に腰を下ろす。

うわ、うわうわうわ…！

せ、石鹸の香り…！

「あたし、笠原美雪っていいます。この学校、今日からなんだよね？」

『あ…八神Aです。うん、今日から…』

「やっぱり！？良かったぁ…あたしもそうなんだ」

『…え？』

あれ？

だって、忠義たちが女の子の転校生は
久しぶりだって言ってなかったっけ？

「うん、影薄かったでしょ？(笑)
初日だからって張り切って早く来過ぎちゃって。ずっとあの席に座ってたから、誰にも気づいてもらえなくて…(笑)」

そう言ってテヘヘ笑いを浮かべた美雪ちゃんは
いかにもピュアピュアなオーラを醸し出していて
こうして傍に居るだけでくらくら目眩を感じる。

う…

この汚れのない笑顔、何なの…

まるで、あたしたちの周りだけ
空気が綺麗に浄化されたような。

なんだかよく分かんないけど、息がしづらいです

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