涙時計（blue） (ページ27)

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◇ふざけんじゃねえページ27

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一瞬、何が起こったのかわからなかった。

フリーズするあたしの目の前には
そっと睫毛を伏せた綺麗な顔。

数秒の間、周りの音が何一つ聞こえなくなって
ただ唇に感じる柔らかいぬくもりに呆然として

頭の中が真っ白で

微かな衣ずれの音と共に章大が離れるまで
あたしは自分がキスされたことに気がつかなかった。

「…再会の記念に、な？」

ニヤリ、意味深な笑みを浮かべ
ペロッと自分の唇を舐めた章大。

そして口元に親指を持っていって軽く拭うと、

「むっちゃマヌケ面」

その指で、ポカンと開いたあたしの唇に触れて
それからふわっと目を細めて微笑う。

…何

何なの

何なのこの男

「じゃ、俺トイレって言うて抜けてきたから、そろそろ教室戻るわぁ」

またあのふわふわ声に戻った章大は
“これおーきに”って煙草の箱を返して
ひらひら手を振りながら颯爽と去っていく。

残されたあたしは煙草片手に一人、
その場にぼうっと立ち尽くすしかない。

髪、…前は真っ金キンだったのに黒くなってた

背、…は、あんまり伸びてなかったけど

中学の頃よりずっとずっと

男らしく、カッコよくなってて

…要らない色気までむんむん出てて

『なに…アイツ…』

原因不明のドキドキが全身を駆け抜ける。

そうして緩やかな夜風に吹かれ
ある意味“金縛り”にかかったまま

茫然自失で突っ立っていたあたしのポケットの中で
スマホが忙しなくメッセージの受信を通知していた。

隆平【Aちゃーん＼(^o^)／】

隆平【学校終わったら連絡してな～！】

忠義【：着信がありました】

隆平【今日は駅前のカフェでも寄ってこかっ！】

亮【：着信中】

亮【A、出て】

亮【すばるくんから聞いた、ヤスと会ったって】

隆平【キャラメルラテでも奢ります(￣^￣)ゞ】

忠義【なぁ Aちゃん】

亮【大丈夫なん？今日駅まで迎え行こか？】

亮【：着信中】

あの日から一歩も前に進めなかった

向き合わなくてはならないものから逃げてばかりの生活を送っていた

そんなあたしの世界で
ずっと止まっていた時計の針が

ゆっくり、ゆっくり

動き出す

『…ざけんじゃっ、ねぇーーーーーっ！！！！』

退屈な日常が

崩れ去ろうとしている予感…

to be continued...