検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:85,860 hit

◇小さな優しさ ページ3

.






《あ、Aちゃん?ごめんなぁ急に、もしかしてもう学校やった?》


『んーん、まだ。今入口のとこ!』



さっきまでの死にかけたガラガラ声から一転、
ワンオクターブ高い声で返事をして。


電話の向こうで“良かったぁ”って笑う
彼の優しい笑顔を思い浮かべると、
心の真ん中がじんわりと温かくなる。



まるちゃんは中学時代の同級生。


同中の子で唯一繋がりが残っている大切な友達で
…昔、付き合っていた時期もあったけど
いろいろあって別れてしまった“元カレ”で


もう2年以上カタオモイしてる、


ずっとずっと大好きな人。




『で、どーしたの?何かあった?』




突然とはいえ電話をくれたことが嬉しくて
だらしなく緩みそうになる頰を手の平で隠す。




《あっ、ちゃうねん! その…Aちゃん人見知りやし、今日の初登校大丈夫かなーって思って…》




…ほら、こういう小さな優しさ。


心臓の辺りがキューって締め付けられる。


思わず一人でにやけていると、
通りすがりのサラリーマンに変な目で
見られたけれど、気にしないもんね。



『…ありがと。大丈夫だよ、たぶん』


《たぶんなーん? なんか心配やなぁ》


『だいじょぶだって!なんとかなるもん、たぶん!』


《んふ(笑) Aちゃんらしいわ〜…じゃあ帰りは迎えに行くな?》



“迎えに行く”



電話を切った後も、
その言葉がずっと耳の中に残ってる。


部活の推薦でこの辺りの高校に通ってるまるちゃんは
あたしが栄翔高校に転学することを知った時
“一緒に帰れるなぁ!”ってすごく喜んでたっけ。




『よし…頑張ろっかな』




学校は毎週金曜日、
4時から7時までの三時間授業。


帰りはまるちゃんに会えるんだから、
三時間くらいガマンできるよね…


…うん、できるはず!!




一度、大きく深呼吸して。


リュックの紐を両手でぎゅっと握り締めたあたしは
しっかりした足取りでビルの玄関をくぐりぬけた。







.

◇突然の叫び声→←◇新しい場所



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
129人がお気に入り
設定タグ:関ジャニ∞ , 安田章大 , 大倉忠義   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:べに x他1人 | 作成日時:2015年11月27日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。