涙時計（blue） (ページ19)

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◇ヘタレの国の王子サマページ19

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なんとか渋谷さんの誤解を解くと(解けたと信じたい)、
二人揃って教室に戻った。

なんかもう一気に疲れた…

げっそりしながら席に向かえば、
あたしよりも更にげっそりして
ひどい顔色をしてる忠義が呆然と座っていて。

『…え。何これ、忠義どうしたの？』

「よぉわからんねん。急にこんななってもうて…」

信ちゃんがガクガク肩を揺さぶるけど、
忠義は机を見つめたまま微動だにしない。

…生きてる？

大丈夫なの？

あまりにも動かないもんだから
真剣に心配になってきて、

『…忠義？』

ズイッと顔を覗き込むと。

「……うわぁああああ！？」

まるで突然電源が入ったオモチャみたいに
ものすごく俊敏な動きで後ろに飛び退いた。

「ごっ、ごめん！！ごめんなさい、ほんまに！！」

おい

なんだその反応は

「ま、まさか、そんなこと考えてなくて！」

『…へ？』

「天下の錦戸亮様の彼女様とは知らずに！！
数え切れないご無礼を、その、なんてお詫びしたらええのか！！」

『……』

すみません

呆れて言葉も出テキマセン

土下座されたの、産まれて初めてなんだけど。

しかも何？何なの？ヘタレなの？
どうでもいいけど、
何この態度の変わりよう。

いやまぁ、こっちの世界ではかなり有名で
伝説の男とまで語られてることは知ってるけどさ。

亮ってどんだけ恐れられてんの！？

「錦戸？誰やそれ」

「村上くん！！そんなこと言うとったらほんまに殺されんで！？」

俺はまだ死にたないもん！とか涙目になりながら
本当チビるんじゃないかってくらい震え上がってる
忠義だけど、

大丈夫、亮は不良としか喧嘩しないから。

不良になり切れてない不良とは
決して喧嘩なんてしないから (棒読み)

『あのー…忠義くん？』

「はっ、はい！！？」

あたしの隣では渋谷さんがぷるぷる肩を震わせて
必死に笑いを堪えている。

『あたし、亮の彼女じゃないんだけど』

「…………へっ？」

アホだ。

もう本当アホ

全部がアホ

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