涙時計（blue） (ページ11)

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◇だいすきページ11

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まるちゃんの隣は本当にあったかい。

おしゃべりして、ジョーダン言い合って、
笑って、笑って。

『そういえば、この前の県大会3位だったんでしょ？』

「せやねん。やっぱり県大になるとなかなか優勝出来ひんのよ～(笑)」

『や、3位でも充分すごいからね？』

「あ！その大会で貰った副賞、Aちゃんにあげようと思っててん！」

『ほんと？なになに、何くれるの？』

「ジャ～ン！オレンジ色の蛍光ペン五本セット～♪」

『……え、めっちゃ要らないんだけど』

電車に乗ってからも
あたしは近況を話したり
まるちゃんの学校の話を聞いたりして
のんびりとした時間を過ごした。

帰宅ラッシュからは少しずれた時間の
並んで座れるほどの電車の中で
会話が途切れることはなくって。

流れていく景色をぼーっと眺めながら
懐かしいなぁって、ちょっとだけ…切なくなる。

昔はよくこうして二人で電車に乗って
街や遊園地にデートしに行ったな

二人とも月3000円のお小遣いを貯めて
お年玉なんかも削ったりして

『楽しかったな…』

小さく呟くと、
まるちゃんが“え？”って耳を近づけてくるから
慌てて話を逸らした。

『ごめんね、わざわざ送ってもらっちゃって』

もう暗くなってるからって、
わざわざ家の前まで送ってくれたまるちゃん。

こんな風に優しいところ
本当に変わってなくて。

まるで大きなプラネタリウムのような
どこまでも広がる満天の星空の下

くるりと後ろを振り返ると
あたしを見下ろすまるちゃんの優しい眼差しに
ドキッとして目が離せなくなる。

「全然ええよ？ Aちゃん可愛いねんから、誘拐されたら大変やしっ」

『…何、それ(笑)』

胸の鼓動が痛い。

ほっぺたに熱が集中する。

そっと伸びてきたまるちゃんの手が、
優しく頭に乗せられた。

『…っ』

「じゃあ…また来週な」

あたしの髪を指で梳きながら
すうっと引いていくあたたかい手。

遠ざかっていく背中を見つめながら
ああ、やっぱり好きだなぁ…って
また胸がキュッと苦しくなったんだ。

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