涙時計（blue） (ページ2)

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◇新しい場所ページ2

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電車に揺られることおよそ1時間。

地元の駅とは比べ物にならない大きなターミナル駅で下車すると、そこから歩いて徒歩5分。

派手な色合いと個性的な模様が気に入って買った
通学用のリュックサックを背に
あたしはとあるビルの前で立ち尽くしていた。

『…着いちゃった…』

ぽつりと呟いたあたしの声は、
駅前の騒がしい雑踏に揉まれて消える。

栄翔高等学校。

第一印象、ただのビル。

ちょうど後期が始まるこの10月から、
晴れて(?)編入という形でここの通信制コースに通うことになりました

八神A 17歳

只今、テンションさげぽよまっくすなのです

『…マジで行きたくないんですけど…』

もう一度ぽつり、呟くけれど
誰にも届くことなく消えていく声。

今すぐにでも帰りたい…

あたしの意思はまるっきり無視され、
親が勝手に決めてきた高校を一年半で辞めた時点で、
学校という場所にはもう二度と足を踏み入れる事は
無いだろうと思っていたのに。

またしても頭のカタイ両親が勝手に決めてきた
別の高校に“転学”するという新しい道筋。

…いったいあたしはいつになったら
親の束縛から解放されるわけ？

ああもう、未成年ってほんっとめんどくさい！！

『行くしかない、かぁ…』

がんばれ、あたし

残りたった一年半の辛抱じゃないか

自分で自分を励ましつつ
がっくりと肩を落としてため息を一つ
重い足を引きずって入口に向かう…

と、次の瞬間。

まるでタイミングを計っていたかのように、
ポケットに入れていたスマホがぶるぶると
震え始めた。

取り出したそれに表示される名前、

“りゅうへい”

『もしもしっ、りゅ……まるちゃん！？』

あたふたしながら通話ボタンを押すと、
スマホ越しに優しい声が聞こえてくる。

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