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『父は、バスの運転手でした。母はバスガイドで、仕事でもいつも一緒の夫婦でした。』
あるツアーの最中、これからって時に起こった事だった。
道路に飛び出してきた子供を避けようとして、父が運面してたバスは横転した。
飛び出してきた子供が悪い。
私自身も子供ながらに、当たり前のようにそう思った。
『でも世間は、そんなに優しくはなかった。居眠りだったんじゃないか、脇見運転だったんじゃないか、そうやって父は責められた。』
自分も、自分の愛する妻も亡くしてしまったけど、それよりも預かったお客様の命を奪った代償が大きかった。
助かった方もいた。
でも、人間は強いものに巻かれる。
その人達が庇ってくれることは無かった。
『物心ついた頃から、人殺しの娘というレッテルを貼られながら生きてきました。祖母だけが私の味方でした。もう祖母以外は誰も信じないと心に決めました。でも、その祖母も、もういません。』
なんで、何でこんなことを彼に話しているのだろう。
今まで誰にも話したことないのに。
でも、どこかで彼なら、分かってくれるような気がした。
そしてその予感は的中して、気付くと私は、彼の腕の中にいた。
「っ、辛かった、ね。ほんまに、頑張ったな。」
『…片寄、さん？』
「悪くないやん、お父さん。何も悪くない。青空さんやって、何もしてへん。せやからもう、自分責めんの終わりにしよう？」
『な、んで、？』
「許してもらおうとしなくていい。もう誰も、青空さんのこと責めてなんかないから。」
『っ、！』
なんであなたが泣くの？
上を向いて生きてはいけないと、ずっとそうやって生きてきた私だってこと、なんで分かってしまうの？
そして、両親が亡くなって以来初めて泣いた。
声を上げ子供のように、わんわん泣いた。
彼の腕の中で、彼にしがみつきながら。
『っ、ごめん、なさい…。』
「落ち着いた？」
『…はい。本当に、ごめんなさい。』
「そんな謝らんといてください。Aちゃん。」
『…っ、え？』
「Aちゃんは、ご両親が残してくれた大事な宝物やから。青空Aっていう人間が、ご両親が立派に生きてた証やと思う。そんな二人が付けてくれた名前で、呼びたくなって…。だめ、やった？」
止まったはずの涙がまた溢れてくる。
暖かい、穏やかな彼の言葉が胸に染みる。
私は、彼の言葉に大きく首を横に振る事しかできなかった。
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えすちゃん(プロフ) - 続きが気になります! (2018年10月16日 23時) (
レス) id: 6b458d06dd (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - また更新が再開されるのを楽しみにしています。 (2018年9月15日 21時) (レス) id: 39b5516bcc (このIDを非表示/違反報告)
emry(プロフ) - pomuさん» pomuさん、ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！！これからも頑張りますね♪ (2018年7月24日 14時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
pomu(プロフ) - はじめまして！！作品毎日楽しみにしています！ (2018年7月23日 14時) (レス) id: 356e20fead (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emry | 作成日時：2018年7月10日 1時
