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それから彼女の事を知りたくて、一緒に何かをする機会を増やした。
料理、洗濯、買い物。
またあの笑った顔を見たいと思って。







『大分包丁上手に使えるようになってきましたね。』

「ほんまに?なんか青空さんに褒められると、嬉しいっすね。」

『片寄さんはいちいち大袈裟な方ですね。』

「大袈裟やないです、ほんまの事です。」

『一人で出来ることも増えて来ましたし、もうそんなに私は必要ないかもしれませんね。』

「え?」

『…いくら立派なお仕事とはいえ、週三日は、大変なんじゃないかって思って。結構な出費になりますから。』






そう思うのが普通だと思う。
確かに毎月安い金額ではない。
同年代からしたら。


それより彼女は俺の仕事の事を知っているのだろうか。
立派なお仕事とは、理解した上で言ってくれてるんだろうか。







「青空さんは、俺の仕事の事知ってるんですか?」

『いえ、知りません。けどその若さでこうして私を雇えるくらいですから、それなりのお仕事をして、それなりの収入があるからだと思いまして。』

「そう、ですか。…あの、普段テレビとかって観ます?」

『ああ、いえ。ちょっと前に雨宮さんからも同じ事を聞かれましたが、私の家にはテレビないんです。』

「そっか。…え?え!?テレビない!?」

『はい。』






テレビないとかある?
本当の話なのか?これは。
もし本当だとしたら、俺のこと分からなくて当たり前だ。
いくら雑誌に載ると言ったって、主な仕事はテレビ関連がほとんどだし。


でもニュースとか、そういう情報は得なくていいのか?
他にも天気予報とか、そういうのは?







「不自由しません?テレビないと。ニュースとか、まあ色々と。」

『確実に世間知らずではあると思います。…でも、悲しい情報を、耳に入れたくないんです。』

「悲しい情報…。」

『私、両親を小さい頃事故で亡くしてるんです。その時、テレビで色々と取り上げられてしまって。本当の事が分からないのに、死んでまで嫌な思いをしなきゃならない。そういうの、もううんざりで。』






そして初めて、彼女の両親が既に亡くなっていることを知った。
その時俺も同じように子供だったけど、そのニュースはなんとなく覚えていた。


一つ一つのそういうニュースに、他人事とは思えない感情を抱いてしまうと、彼女は悲しそうに話してくれた。






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作品ジャンル:恋愛
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えすちゃん(プロフ) - 続きが気になります! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 6b458d06dd (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - また更新が再開されるのを楽しみにしています。 (2018年9月15日 21時) (レス) id: 39b5516bcc (このIDを非表示/違反報告)
emry(プロフ) - pomuさん» pomuさん、ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!!これからも頑張りますね♪ (2018年7月24日 14時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
pomu(プロフ) - はじめまして!!作品毎日楽しみにしています! (2018年7月23日 14時) (レス) id: 356e20fead (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:emry | 作成日時:2018年7月10日 1時

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