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『こんにちは。青空です。』
「はーい、今開けますねー。」
このやりとりも三度目。別にいつもと変わらない。
今日は何するんだろう、と考えながらオートロックが開くのを待つ。
また掃除だったらちょっと嫌だな。
だって広くて思ってたより大変なんだもん。
『失礼します。今日は何をしましょうか?』
「うーん、どうしようかな。あ、そうだ。洗濯物、やってもらえます?」
『分かりました。』
「こないだ地方行ってて、結構溜まってるんですよね。」
『そうですか。あとは何かありますか?』
「あとは、また夕食をお願い出来ます?」
『分かりました。では洗濯物から取り掛かります。』
この前とは違い、部屋着で髪も何にもセットされてない彼は、私がそう言うとお願いします、と言って大きな欠伸をした。
ランドリーへ行くと、まあまあの量の洗濯物が溜まっている。
とりあえず、洗濯機で済むものとそうでない物を仕分けしようとした時、慌てた様子の彼が勢いよく入ってきた。
『えっ、なんでしょうか。』
「あ、あの、ちょっと一度出てもらってもいいですか?」
『はい。』
言われるがままに一度ランドリーの外へ出ると、ピシャリと扉が閉められ、少しすると彼は籠を持って出てきた。
「下着は、自分でやるんで…。すみません。」
恥ずかしそうにそう言って、足早にその場を後にした。
そんな事、気にしなくてもいいのに。
そんな顔されたら、調子が狂う。
今まで、異性の下着なんてただの布としか思ってなかったのに、彼の態度に今までよく普通でいれたなと、何だかこちらまで恥ずかしくなった。
『あの、乾いているものは畳んで宜しいですか?』
「はい!あ、俺も一緒にやります!」
『え、?』
「手伝います、俺も。手伝いますって変か、俺のやもんな。」
なんて言ったらええんやろ、と顎に手をやり考える仕草をする姿に、心做しか胸の奥がざわついた。
やっぱりこの人苦手だ。
嫌い。何故か分からないけど、そう言い聞かせないとこの先仕事を続けられないような気がした。
『あの、本当にいいですから。私の仕事ですし。』
「いや、結構沢山あるし、二人でやった方が早く終わりますよ。そしたら青空さんも、早く帰れるやろうし。」
『でも、』
「じゃあその代わり、夜ご飯にめっちゃ力入れてください!」
約束ですよ、とあの爽やかで眩しい笑顔を見せた。
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えすちゃん(プロフ) - 続きが気になります! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 6b458d06dd (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - また更新が再開されるのを楽しみにしています。 (2018年9月15日 21時) (レス) id: 39b5516bcc (このIDを非表示/違反報告)
emry(プロフ) - pomuさん» pomuさん、ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!!これからも頑張りますね♪ (2018年7月24日 14時) (レス) id: ed62ca3d67 (このIDを非表示/違反報告)
pomu(プロフ) - はじめまして!!作品毎日楽しみにしています! (2018年7月23日 14時) (レス) id: 356e20fead (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:emry | 作成日時:2018年7月10日 1時