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他人より恵まれた容姿と、他人より哀れな境遇。
それらを持ち合わせているとAが自覚したのは、いつからだったか。
考えるより先にスマホが手につく思春期を過ごしたSNS世代。美容の知識は圧倒的に得やすく、同級生の誰より早く垢抜けてイケてる女の子になりたいと思った。自分の見た目が評価されるレベルのものだと気付くのに、そう時間はかからなかった。
そしてそれは活かさないと意味が無い。スカート丈もスクールメイクも1年生の頃はよく怒られたけど、今はもう何も言われない。調子に乗ってピアスも開けた。ヘアカラーは……まだしてない。
周りより大人びている自覚もある。バカみたいに騒ぐだけの同世代を、Aはいつも可哀想に思った。
派手な見た目をするとすぐに女子は群れたがる。タピオカとかプリクラとかを今日も浪費するつもりらしいクラスメイトには付き合ってられず、それでも浮かないくらいの関係を保って、今日も早々に学校を出た。
「Aも今度はいっしょに行こうね！」
「ありがと！ばいばーい」
校門を出た少し先、不自然な位置に立つ白い影。紛れもなく今朝のパン屋の片方だ。2日連続で会っているから、間違えるはずもない。
帰宅部が続々と歩いてくる中にAを見据えてひらひらと手を振るその姿に、少し溜息が漏れた。――面倒臭い。そう思ったのは確かだ。
「Aちゃん、おつかれ〜」
「待ち伏せとか、お兄さんもストーカーですか？えっと……イブキさん、だっけ」
名前を呼ぶと伊吹は目を見開き、名前知ってたんだ、と小さく呟いた。今朝志摩と伊吹が互いを呼び合ったのをAは聞いている。
「うん、伊吹。伊吹藍ね」
「苗字だったんだ。イブキって名前かと思ってました」
「藍おにーさんでいいよ〜」
「っふふ、結構です。伊吹で」
「舐められてる感！」
相手を懐柔するのが得意な二人だからこそ、傍から見れば兄弟のように懐いて見える。しかしAは笑っているものの、その視線はどこか伊吹を見透かすような底知れない冷たさがあった。
「……で、伊吹はなんでここにいるの？」
「いやさ？休みに近くをたまたま通ったから、Aちゃん大丈夫かなーって。ほら昨日あんなことがあったばかりじゃん？心配だったの」
「えぇ？別に平気だよ。今日バイトだから着いてこないでね〜」
『バイト』のワードに、伊吹は微かに眉間に皺を寄せる。駅に向かいスピードを早めるAの手を、思わず掴んだ。
・
当作品は援助交際やそれに関する行為を助長するものではありませんので悪しからず！
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namida(プロフ) - みやびさん» ありがとうございます。そのワクワクを裏切らないよう善処します(＞＜) (2020年9月15日 22時) (
レス) id: 0ab56b3b00 (このIDを非表示/違反報告)
みやび(プロフ) - お話が好きで、ワクワクしながら更新を待ってます^ - ^ (2020年9月15日 21時) (レス) id: 75a1d276d4 (このIDを非表示/違反報告)
namida(プロフ) - リンスさん» ありがとうございます。あまり期待はせずお待ちください…笑 (2020年9月15日 16時) (レス) id: 0ab56b3b00 (このIDを非表示/違反報告)
リンス - 続き待ってます！！ (2020年9月15日 0時) (レス) id: 8ca4368cf9 (このIDを非表示/違反報告)
namida(プロフ) - SEIさん» 嬉しいコメントありがとうございます(＞＜)私も3ページ目なんかはサントラ『志摩一未』をイメージしていて、ドラマの世界観を壊さない小説を心がけているので嬉しいです。今後もよろしくお願いいたします(;_;) (2020年9月13日 16時) (レス) id: 0ab56b3b00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：namida | 作成日時：2020年9月8日 10時
