涙を拭いて #3 (ページ46)

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いっぱいいっぱいの海斗の手を引いて、車に乗せる。今日は自分から助手席に座った。

「前でいいの？」

「のえるの、近く」

「そっか、わかった」

助手席に乗ったものの、これでもかというくらい下を向いて、キツく目を閉じていた。もう少しで病院に着くというところで過呼吸を起こしてしまったけど、優しく声をかけながら、なんとか病院に辿り着いた。

「着いたよ、降りよう」

同じように手を引いて、未だ呼吸の整わない海斗を連れて待合室に向かう。受付をしていつものように問診票を受け取る。

「海斗、頑張って」

バインダーとボールペンを手渡したけど、手が震えて、涙がこぼれてきてしまって、結局自分で書くことはできなかった。

「っ、、ごめ、なさ、、」

「大丈夫、大丈夫。一回落ち着こう」

できなかったことでまた辛くなってしまって、隣に座っている僕に縋り付く。体重を測ったり、僕が阿部先生と話すときは別の部屋に行くから、また崩れちゃうかな。

「海斗くん、検査室行こうね。お兄さんは診察室にお願いします」

案の定、看護師の渡邊さんに呼ばれると、海斗は僕の腕をぎゅっと掴む。

「海斗、頑張っておいで」

「のえる、」

「僕は先に阿部先生とお話ししてくるからね。待ってるね」

「で、も、」

「海斗くん、行こう。がんばれがんばれ」

渡邊さんが手を引いてくれて、なんとか僕の腕を離す。

「お、偉いじゃん。すぐ会えるから。体重測ってこような」

こっちまで泣きそうになるのをなんとか堪えて、診察室に入る。