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Sakuma
「松倉海斗くんに面会希望の方が下にいらしてます」
事務の人から連絡があって、高校生くらいの子が3人来てると伝えられた。この病棟では、面会が可能かどうか、毎回病棟に連絡が来る。
「ちょっと確認しますね。あ、もしもしあべちゃん？」
海斗のお友だちが面会に来ていることを伝えると、如恵留くんに確認して、海斗が一緒にいたいと思うお友だちなら、散歩を手伝ってもらえるといいねと回答があった。病室にいた如恵留くんを廊下に呼ぶと、彼らは本当によく海斗のことを気遣ってくれている子たちだと分かって、一緒にお散歩に挑戦してみることになった。
「じゃあさ、俺は下に行って、お友だちを迎えに行ってくるね。如恵留くん、海斗のお出かけの準備お願いします。おトイレ行っておいた方がいいね」
「わかりました」
如恵留くんもとても嬉しそうで、これがいいきっかけになればいいなと想った。
「お待たせしました〜」
ベンチにぽつんと座る3人組に声をかける。真ん中に座っているまつ毛の長い子はギュッと服を掴んで下を向いた。もしかすると、この子はお話が苦手なのかな。小児精神科の看護師の勘で何となく判断して、ニコニコ笑顔の子になんとなく話を振る。
「松倉海斗くんのお友達かな？」
「そーです！かいとのお見舞いにきたの。かいとに会えますか？」
「会えると思うよ。でもね、少しだけ、海斗くんのことお話ししてもいい？」
ゆっくり、丁寧に、今の状態を話す。
「海斗くんね、お外に行くことが怖いんだ。前よりも、苦手になっちゃったの。でもね、お外に行けないと退院出来ないし、学校にも戻れないから、毎日練習してるんだ。その練習を、お手伝いしてもらえないかなって」
「いいよ！」
「ありがとうね。もしかしたら、辛くなっちゃって、途中でおしまいになっちゃうかもしれないけど、そしたらまた違う日に来てくれる？」
「うん。いつでもくる！」
「よし、じゃあ、海斗迎えにいこう」
そういうと、両脇の2人はゆっくり立ち上がる。真ん中の子はワンテンポ遅れていたけど、背の高い子が腕を引っ張って、立たせていた。3人で横並びで歩いている時はしっかり話せていたから、場面緘黙症かな。
「天気もいいし、お外まで、一緒に行けるといいなぁ」
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作者名：イカ | 作成日時：2022年8月28日 23時
