涙を拭いて #3 (ページ34)

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「でも、、ずっと一緒にいることが、正解じゃないことは分かってるんです。ただ、僕が、寂しいだけなんだと思います」

「そりゃそうだよ。大切な兄弟だもんね。ひとりで抱えなくていいんだよ。海斗のこと支えるの、俺たちにも手伝わさせてね」

頷いた如恵留くんにタオルを渡して、そのまま暫く待っているとゆっくり顔を上げた。

「すみません、最近泣いてばっかりで、、、」

「だいじょーぶ。海斗の前で笑えるように、さっくんの前ではいっぱい泣いていいよ」

「ありがとうございます」

「あべちゃん先生呼んでくるね」

お散歩はお休みかと思ったけど、あべちゃんの考えは違った。あべちゃんは今じゃなくて、いつも未来を見てる。
「お散歩は、できる限り毎日挑戦しましょう。最初は負担が大きいかもしれないけど、病院にいる間に頑張って練習して、学校に戻れるようにしましょう」

「できるように、なるんでしょうか」

「時間がかかるし、たくさん泣いてしまうかもしれないけど、それをやめしまったら、海斗くんの未来がここで止まってしまうよ。不安はもちろんたくさんあると思うけど、前を見据えて、進みましょう」

「はい、、」

「家から出て、如恵留くんと離れているだけでも、調子の悪い時の海斗くんにとっては、辛くて、怖いことだよね。だから、病院にいること自体が、練習で、リハビリだと思う。2人に辛い思いをさせたくはないけど、今は、耐え時かもしれないね」

如恵留くんは、阿部ちゃんの話をひと言も聞き漏らすまいといった感じで聞いていて、眠っている海斗を起こしたくないからと、そのまま帰路についた。

「明日はお散歩行けるかな」

「難しいと思うよ」

「やっぱりそうなんだ」

「うん。でもさ、海斗くんって、外が苦手なのもあるけど、新しいことが苦手じゃない？だから、本人も、外が嫌なのか、新しいことが嫌なのか、多分分かんないんだと思うんだよ。だからまずは、病棟から出るってことが自然にできるようになってから、考えようかなって」

「なるほどね。さすが」

「正解はひとつじゃないけど、出来ること、全部やってみよう」

「りょーかい。今日はもう起きないかな」

「そうだね」

「お風呂とかお着替えは明日の午前中に回すね」

「よろしくお願いします」

申し送りを書いて、明日の担当表を確認する。俺は明日も、海斗とお散歩。海斗が笑って、如恵留くんとお散歩できるように、俺も頑張ろうと思った。