涙を拭いて #3 (ページ27)

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でも、まだ④ ページ27

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Kaito

「海斗くん、明日からプログラム増やしてもいいかな」

夕方病室に来てくれた阿部先生からそう言われて、早く退院したいから迷わず頷いた。カウンセリングは辛い時もあるし、急に思い出してわかんなくなっちゃう時もあるけど、早く学校に行きたいし、もっと頑張りたいなって思った。

「あのね、病棟の中とか、デッキにお散歩に行ってるでしょ？その後、お外をお散歩したいの」

そう言われて、自分の思考が鈍くなるのが分かった。頑張りたい。でも外に行くのは怖い。

「そ、と、、」

「うん。最初は裏から降りて、広場の方に行ってみようね」

阿部先生の言葉に頷かなくちゃ、そう思っても怖くて、涙が溢れてしまう。

「海斗くん、いまどういう気持ちか教えてくれる？」

カウンセリングの先生みたいに、ゆっくり、答えを待ってくれる、なんとかして、自分の気持ちを伝えなきゃ、そう思って、口を開いた。

「そと、、いや、です、」

なんとか絞り出した声は、自分でもびっくりするくらい震えていて、それでも阿部先生は、にっこり笑って、頷いてくれた。

「そうだよね。自分の気持ち、ちゃんと教えてくれてありがとう。最初からお外に出なくてもいいよ。まずは、病棟から出て、玄関まで行ってみよう？海斗くんが、退院して、高校に行くためには、必要な練習だと思うんだ」

そう言われて、やっぱり怖くて涙は止まらないけど、頑張りたいと思って頷いた。

「よかった。看護師さんが一緒に行ってくれるからね、心配しなくて大丈夫だよ」

「のえるは、きますか」

「明日は平日だから、昼間は来ないけど、夜来てくれるかな？お休みの日に、一緒にお散歩できるといいね」

頑張りたいのに、すごく不安になってきちゃって、阿部先生が薬飲みなって言ってくれたけど、身体が動かなくて、手のひらに薬を乗せてもらって、漸くそれを口に入れることができた。

「夜ご飯まで、休んでてね」

身体を倒してタオルケットをかけられると、そのまま眠ってしまった。