涙を拭いて #3 (ページ18)

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Sakuma

「熱も出てきたかな」

顔を真っ赤にして泣き叫ぶ海斗のサチュレーションは低くて、体温も上がってきた。興奮しているせいもあるけど、海斗は精神的に負担がかかると熱を出すことが多い。

「かいとー、病院ついたよ。車から降りるね。あべちゃん先生に怖いのとってもらおうねー」

処置室に運んで、阿部ちゃんの判断ですぐに皮下注射を打つ。少し身体の力だ抜けたタイミングで、身体を綺麗にして、着替えさせて、傷の手当てをする。

「痛かったねぇ、、」

「点滴入れるね。海斗くん、大丈夫だからねー」

いつもの皮下注射では効果が薄くて、またすぐに身体に力が入ってしまう。

「お薬入れるからね。怖いんだよね、、大丈夫だからね」

点滴を追加して暫くすると身体の力が抜けてくる。それでも呼吸は浅くて、一点を見つめたまま、呼びかけには反応しなかった。

「保護室にお願いします」

「ちょっと、時間かかるね。ここまで辛いのは、事故の日以来かも」

「そうだね、、まさか交通事故見ちゃうと思わなかったね」

「そんなに頻繁に起こることではないし、避けようがないんだけど、、最近調子良かったから、如恵留くんも辛いかな」

「そうだねー。なるべく話聞くようにするね」

「よろしく」

・・・

Noel

「吉澤先生！」

大きな会議の後だったけど、早く行ってあげなさいと言ってもらって、病院に着く。廊下で、吉澤先生が待っていてくれた。

「海斗は、、？」

すぐに事務の人に呼ばれて、面談室にお願いします、と言われる。

「これ、海斗くんのお荷物です」

「あ、ありがとうございます、、あの、吉澤先生、、ひとつ、お願いがあるんですが、、」

「はい、なんですか？」

「説明、一緒に聞いてもらえませんか、、お忙しいのは承知の上なんですが、、僕もなんだか動転していて、学校にちゃんと説明する自信がなくて、、」

「でも、」

「ご家族の希望であれば、大丈夫ですよ」

「お願いしたいです、、」

「分かりました」

申し訳ないと思ったけど、なんだか僕も1人になるのが嫌で、いつも優しく話を聞いてくれる吉澤先生に頼ってしまった。