・ ページ14
・
「お兄さんは会議中で連絡つかなかったから、会社の人に学校にかけ直してもらうように頼んだ。かかりつけの病院は、今から迎えにきてくれるって」
「そっか、分かった」
「俺付き添うよ。しめ出ない方がいいでしょ」
「ありがとう、お願い。教室から荷物もらってこなきゃね」
「職員室電話するわ」
荷物は宮近くんたちがまとめてくれておいたものを担任が持ってきてくれて、迎えにきてくれた搬送車に松倉くんを乗せる。車に乗ることも嫌だったようで、また暴れてしまったけど、命を守るために、拘束の措置を取った。
「よろしくお願いします」
しずが一緒に搬送車に乗って、病院へ向かっていった。
「辛かったよね」
松倉くんの血がついてしまった白衣を脱いで、保健室に戻る。ゆっくり引き戸を開けると、中で中村くんたちが待っていた。
「あれ、どうしたの？」
「っ、、」
言葉が出ない宮近くんをひとまず座らせて、オロオロしている松田くんに聞いてみる。中村くんはかなり眠そうだ。
「松田くん、どうしたの？」
「あのね、荷物をまとめて、先生に渡したんだけどね、その時に、、みんながまつくらのこと心配して聞いてきてね、最初に、ちゃかが苦しくなっちゃったの、、そしたら、そのあと、海人も、力抜けちゃってね、眠くなったり、、危なくて、、だから、とりあえず、2人とも連れてきた。先生いないかもって思ったけど、教室に、いれなかった」
教室に居られなかったのはおそらく松田くんでも中村くんでもなくて宮近くんだけど、とにかく優しい松田くんは、2人を連れて保健室まで来てくれたようだ。
「ぅ、、」
話している間にも、中村くんがまた脱力発作を起こして、ぐんと頭が揺れる。
「中村くんも、驚いたよね。びっくりしたでしょ。松倉くんと一緒にいてくれてありがとうね。少しベッドで休もうね」
まずは中村くんをベッドに寝かせる。すぐに寝ると思ったけど、珍しくポロリと涙を溢した。
「どうしたの？」
努めて冷静に、ゆっくり目線を合わせる。
「おれ、、クラのこと、守ってあげたかった、、でも、肝心な時に、、なんも、できなかった、、すごい、いらいら、して、も、やだ、、こんなからだ、」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 180人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：イカ | 作成日時：2022年8月28日 23時
