涙を拭いて #3 (ページ11)

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でも、まだ① ページ11

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Kaito

「げんたー、がんばれー」

体育の時間、校庭でサッカーをする元太とちゃかを海人と一緒に応援する。俺たちも少しやったけど、最後はやりたい人がチームに分かれて試合をしていた。俺たちはいつも体力なくて疲れちゃうから、最後の試合はいつも木陰で応援してることが多い。体育は他のクラスと合同だし、ちょっと緊張する。

「クラ？」

やっぱりちょっと疲れちゃって下を向くと、海人が気づいて、声をかけてくれる。

「疲れた？」

その言葉に頷くと、少し近くに寄って、背中を摩ってくれた。

「ごめん、ね」

「今日人多いし、頑張ったもんなぁ。サッカーぐちゃぐちゃするから苦手でしょ？保健室行っとく？」

「ううん、、大丈夫、、もう終わるし、ちゃかと元太の試合みたい」

「そっか。わかった」

海人は優しい。はっきりいろんな事を言うけど、ゆったりしてて、自由で、本当に海みたい。

「集合ー！」

集合がかかって、列に並ぶ。すぐに元太とちゃかが迎えにきてくれて、一緒に整列した。

「ありがとうございました」

教室に戻ろう、そう言って歩き出したときだった。

「え？」

ブレーキの音と、車がぶつかる音が聞こえてきて、途端に自分の体のコントロールが効かなくなる。そこから見えているのは全然違う車のはずなのに、あの日見た両親の車と、病院で見た光景が、今目の前で起こっているかのように再生される。怖くて、悲しくて、フラッシュバックだって分かってるけど、自分にはどうにもできなくて、そこから暫くの記憶が曖昧になってしまった。