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岡崎side
岡崎「息子さん、、、ですか？」
私の存在に気づいた彼女は、バレてしまったみたいな顔を浮かべた
恵「そうなんです。でも、私、母親失格なんです」
そう言った恵さんの声は少し震えていた
この工事の従業員は皆、父が工事横に立てたアパートで生活している
となると恵さんはその息子とは別居しているというわけだ
何か深い事情があるのは雰囲気から見てとれた
岡崎「何か理由があるんですよね？
私で良ければお話聞きますよ」
恵「大した話じゃないので」
岡崎「私にはそうは思えないんです。
あなたが何か重たいものを背負ってるようにしか、、、」
私がそう言うと恵さんは瞳を潤ませて静かに涙を流しはじめた
恵「廉っていうんです。ひとり息子で今中学一年生、、、
とても優しくて明るくて素直で友達もたくさんいて、、、
なのに私はそんな廉に寂しい思いを、、、」
ポロポロこぼれた涙がテーブルの上を濡らしていく
こういう時どうすればいいのか戸惑いながらも私は背中をさすりながら彼女の話を聞いた
嗚咽混じりな彼女の話を聞くと
旦那、つまり廉くんのお父さんとは廉くんが生まれて間もなく離婚したが
恵さんも知らないところで多額の借金をしていて行方が分からなくなってしまったため
連帯保証人の欄に書かれていた恵さんが返済をしなければならなくなってしまったというのだ
廉くんを育てながら働き返済してきたものの当然女性ひとりのパート代で
生活費なども考えると返せる額ではなかった
度々くる借金の取り立てに頭を悩ませたが、無関係な子どもは巻き込みたくないというのが彼女の考えだった
今後、返済が遅れて取り立て業者が息子に接触したり、危険な目に遭うのはどうしても避けたい
そう考えた彼女は廉くんを安全な施設に預け、借金の返済に専念することにしたということだった
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作者名：紫陽花
| 作成日時：2019年3月9日 15時
