彼女の秘密が知りたい爆豪くん そのに ページ26
「…悪い。大丈夫か？」
「全然大丈夫。元からあった傷が開いただけだから」
「元から？おいA、それって＿＿」
「おい半分野郎」
ぐい、と体が引っ張られ、黒いインナーが目の前に見える。傷口が引きつって顔を歪めると、無表情の勝己くんが私の顔を見下ろしていた。どうやら私の体を轟くんから奪いとったらしい。
「オールマイト、こいつは俺が保健室に連れて行く」
「あ……うん。了解だよ、爆豪少年」
それから保健室へ向かうまで、彼はずっと無言だった。居心地が悪くなり、体をよじる。傷口が開いたといっても、別に慣れていることだし自分で歩ける。そう無言でアピールしてみるも、勝己くんの手の力は増すばかりだった。
「ちょ、勝己くん、私自分で」
「半分野郎には抱えられてただろうが」
「いやあれはびっくりしただけで」
ちっ、と大きな舌打ちが聞こえる。それでも下ろす気はないらしく、彼は保健室の扉を足で開けた。
部屋の中はシンとしており、他のクラスの授業の声が微かに聞こえるくらいだ。彼にしてはめずらしくそっとベッドに降ろされる。棚をがさがさと漁り、
ガーゼや包帯を取り出した勝己くんが私の体をベッドに倒す。そしてパーカーのチャックを下ろした。
これだけ見れば保健室で如何わしいことをしているカップルだな、と他人事のように考えていると、ガコン、と大きな音がして彼の両手の手榴弾のような防具が外される。
「んだよ、これ」
「……なんでもないよ」
「……てめえ、ふざけんなよ」
そして絞り出すような声が鼓膜を震わせたとき、ギッとベッドのスプリングが軋む音がして、私の顔の真横に拳が叩きつけられた。
「…っんで、俺には何も言わねえんだよ！！」
そして、冒頭に至るわけである。
＊＊
「何もって…」
「何も言わねえだろうが！！半分野郎にも、デクにも……あいつらに言えることをっ、なんで俺には言わねえんだよ！！」
彼が私に覆い被さるようにしているせいで、視界には彼しか見えない。
確かに、轟くんや緑谷くん、飯田くんの3人は、勝己くんが知らない私のことを知っている。それに彼が気づくわけないと思っていたが、そんなことはなかったようだ。
「好きだからだよ」
「っ、てめ、」
「好きだから、勝己くんには言えないの。言うつもりもない。ごめんね、好きなの」
嫌われたくない。その言葉は、彼の唇に飲み込まれた。
そんな顔をしないで、勝己くん。どうしたらいいのか、分かんないよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八千代(プロフ) - フオワァァァァ\(( °ω° ))/ナミトさんありがとうございます！！見たあとしばらく悶絶してました･･･！ (2016年9月5日 21時) (
レス) id: 954f8f8900 (このIDを非表示/違反報告)
ナミト(プロフ) - 鬼龍院リュナさん» コメントありがとうございます(*^^*)子供ですか…！書きたいです(ネタがない)！ぜひ！ (2016年8月21日 17時) (レス) id: ade0ad6b75 (このIDを非表示/違反報告)
ナミト(プロフ) - ゆあまいさん» コメントありがとうございます！そう言って戴けて本当に嬉しいです…！更新が停滞ぎみですがお待ちいただけると嬉しいです！ (2016年8月21日 17時) (レス) id: ade0ad6b75 (このIDを非表示/違反報告)
鬼龍院リュナ(プロフ) - すごく面白いです！このふたりの子供が見てみたい･･･|ωΟ｡)。内容や設定もすごく面白くて、番外編も好きです！ (2016年8月20日 14時) (レス) id: ab483157c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあまい(プロフ) - コメント失礼します。私が好きな銀魂とヒロアカで、とても丁寧な文。そして話の内容が私にとって面白かったです。今までお疲れ様でした。番外編も楽しい話を待ってます！ (2016年8月4日 13時) (レス) id: 7603089fa0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナミト | 作成日時：2016年7月16日 8時
