34.にっちもさっちも ページ34
「で、どうかしたの？緑谷くん」
「……すごく不躾だし、失礼な質問だとは分かってるんだけど…」
中庭まで出てくると、帰りのHRが終わった後だからか人っ子1人いなかった。
緑谷くんは気まずそうに目をそらしながら私に問いかけた。
「……松平さんの個性って、なに？」
別に隠しているわけではなかった。あえて言うことでもないとも思った。
ただ、ここで話をそらしても仕方がないだろう。緑谷くんは頭のいい人だ、私を呼び出したのも確信があってのことだろうし。
「ないよ」
「………」
「私には個性がない」
その言葉に、彼はそらしていた視線をまっすぐ私にやった。揺れる瞳は複雑だった。
そっか、と彼は息を吐き出す。
「……辛くないの？」
「辛くないよ。個性なんて後付けのものに頼らなくても、私は元から強いから」
個性なんてものがあったとしても、私は人間とは根本から違うのだ。それは歴史であり、血。それに逆らうことなどできはしない。
「私は負けない」
そう言って私は微笑んだ。緑谷くんが、実は僕も＿＿と零して＿＿すんでのところで言葉を呑んだように見えた。
なんでもない、と首を振る緑谷くんに、このことは一応秘密にしてほしい、と頼む。
先生はともかく、生徒にばれたら面倒くさいものがある。それに彼は頷いて、私たちは校舎へ戻った。
＊
その頃、教室では早々に帰った爆豪や轟を除いた面子で、切島の告白リハーサル大会が行われていた。A役は飯田である。最初こそ拒否していたものの、学友のためだと言えば意外とノリノリでやってくれていた。
「好き、だけじゃ印象が薄いんじゃない？」
「もっとさあ、俺が一番おまえのこと好きだぜ！みたいな感じの方がいいぞ！」
「壁ドンしろ壁ドン！！」
もはやふざけている者もいるが、堅物加えて恋愛初心者の切島は言われたことを鵜呑みにして全て実践していた。
ドン、と教室の壁に手をつく。飯田の方が背が高いので見上げる形になってしまっているのはご愛嬌だ。
「お前が緑谷のこと好きでも、関係ない！俺はお前が好きだ！俺の方がおまえを幸せにできる！」
そして言い切った時、ガラッと教室のドアが開いた。
「え」
「松平さんどうし……切島くんっ！？飯田くん！！？てか僕！？」
その瞬間、Aの頭には緑谷飯田切島の三角関係が誕生し＿＿
好きな女子にゲイだと思われた切島は、次の日ずっと机に伏せて泣いていた。
35.負けるな！がんばれ！切島くん！→←33.気付いちゃったよ！恋心
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ケンタッキー - よろず屋一同モブ扱いwwwwwwwwwwwwwwwww (2017年7月15日 13時) (
レス) id: 14327c620f (このIDを非表示/違反報告)
舞姫(プロフ) - 3話の切島鋭児郎の児が次になっていますよ！！ 分かりにくくてすみません(Ａ;´･ω･)ｱｾｱｾ (2017年5月1日 0時) (レス) id: b16a0cad51 (このIDを非表示/違反報告)
あるふ - 切島wwwwwwwwちょ、面白い過ぎますwwwていうか、銀魂とうまく融合してますね笑ここでもやはり土方さんは不器用ですか笑もう笑いが止まらなかったです。頑張ってください！ (2017年2月4日 3時) (レス) id: 1eb099c57d (このIDを非表示/違反報告)
ナミト(プロフ) - ユリ猫さん» ありがとうございます！頑張ります！！ (2016年7月9日 13時) (レス) id: ade0ad6b75 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ猫(プロフ) - すごく面白いです！！更新頑張って下さい！！ (2016年7月9日 10時) (レス) id: 2d583a6834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナミト | 作成日時：2016年5月28日 10時
