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巌窟王は、腕の中に目を落とす。己のマスターたる少女は、彼が歩き始めてすぐにまた眠ってしまった。
緩んだ顔で寝息を立てるその顔を見下ろし、巌窟王は自然と口角を上げた。彼女を見ていると、こっちまで惚けた気分になってしまう。
革靴が床を立てる音さえ、彼女を起こす原因になるのではと、巌窟王はゆっくり歩いた。できるだけ彼女の身体を揺らさないように。
誰もいない談話室を抜けたら、四階に通じる階段はすぐそこだ。Aの身体を抱え直して、彼は足を進めた。
その時だった。
「爆豪さァ、一応は手加減しろって！演習室ボロボロになっちまったじゃん」
「簡単に壊れる壁が悪ィ」
「かっちゃん……その暴論はやめなよ…」
「ゆーて緑谷も壁に穴開けてたろ？」
ワイワイガヤガヤ。玄関の方から、賑やかな声が聞こえてくる。聞くに、3、4人程度のものだろう。遭遇したらまた面倒くさいことになる、と巌窟王は踵を返した。この男、自分のテンションの上がること以外は存外寡黙な男なのである。
「おい、誰だ」
巌窟王のその黒い背中に、声が掛けられる。判断が遅かったらしい。顔だけで振り返れば、クリームがかった金髪に赤い目の男が、鋭い眼光でこちらを睨みつけている。特に何の意図もなく、巌窟王はその目を睨み返した。＿＿元来、エドモン＝ダンテスはそういう男である。
一気に雰囲気が重たく、ピリついたものになる。その後ろから、3人の男が顔を出す。全員の顔に警戒の色が浮かんでいて、巌窟王はため息を吐きそうになった。
「貴様らに名乗って何になる？」
「てめえ…！下ろせや！」
巌窟王は至極当然な答えを言ったはずだ。1サーヴァントに過ぎない自分が、マスターでもない人間に名乗った所で何になる？と。その返答は全く間違っていないのだが、いかんせんタイミングが悪かった。
金髪の男が吼える。下ろせ、というのはAの事だろう。彼女は今眠っているのだ。大きな音を立てたくはない。
「それは無理だ」
「ざっけんなよ…！」
「またAを攫いに来たってのか！？」
彼らから見えているのはきっと彼女の白い足。履いている靴で個人を判断したのだろう。しょうがないと腹を括り、彼らに向き直る。長めの金髪の男の手のひらが、バチバチと音を立てた。
「彼女を…どこに連れてくんだ！」
緑頭の少年が威嚇するように距離を詰める。それを見て、巌窟王はスッと目を細めた。
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闇音(プロフ) - 初めまして。こちらのシリーズのお話、いつも楽しく読ませていただいています。ジーク君と1日デートするというリクエストは可能でしょうか？本編ならびに番外編も更新を楽しみにしています。 (2020年3月28日 1時) (
レス) id: f425466021 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳(プロフ) - いつもぜんざいさんの小説を楽しく読ませて頂いてます(>_<)すみませんリクエストなのですが、キングプロテアちゃんと夢主ちゃんとA組のお話が見たいです…！更新楽しみにしてます！ (2019年4月25日 20時) (レス) id: 2e7f27e19e (このIDを非表示/違反報告)
リリカ(プロフ) - こんにちは！いつも楽しみにしてます！ リクエストで岡田以蔵と夢主とA組の話をお願いします！ (2019年1月4日 9時) (レス) id: 317858aab0 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンヌオルタサンタリリィ - 初めまして！インド兄弟楽しみです！それからリクエストよろしいでしょうか？私はロビンとビリーが取り合うのがいいです！ (2018年10月11日 17時) (レス) id: 9d73ceb014 (このIDを非表示/違反報告)
夜ト(プロフ) - インド兄弟の続き楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2018年10月6日 16時) (レス) id: fa8e26fbdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぜんざい | 作成日時：2018年5月27日 11時
