あなたへと歌う (ページ20)

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腐れ縁なこと、翔平くんがメジャーに行く時から付き合っているということ、プロポーズを受けたことを話した。
スタイリストさんはあの顔で意外と肉食なんだ！？と興奮していたしマネージャーさんは4年以上ですもんね…と謎の考察を始めていた。

「なら結婚発表会見とアイドル引退会見がいるんじゃないですかね…モデル業は続けていくんですか？」

「モデルは…うん、無理がないくらいには続けていきたいな」

「なら、なら！私、電話してきます。社長に言わないと！」

…そういいマネージャーさんは出ていってしまった。
意外と大事になってきたかもしれない。

そうこうしているうちに社長から電話がかかってきた。
怒られる覚悟をして電話に出る。

「A、やっとくっついたのね。」

「は、？」

事務所の社長になんて口の利き方してるんだ、と思ったが関係ない。
何故、私たちの関係を知っているの…？

「あー、A達のことは親御さんから聞いてたのよ。「幼稚園の時から両想いだからこの2人のことだけは許して欲しい」って頭下げられちゃって。ストーカーとかでは無いから安心して？」

「はぁ…それは結婚してもいいってことで大丈夫なんですか…？」

「えぇ、もちろんよ。大谷翔平さんの方にも結婚会見の予定を伝えておかないとね。」

「あともうひとつ。それと同時にアイドルを引退しようかと思うんです、ひとつのケジメとして。」

「それは何故？踊りも歌も好きでしょう？」

「でも、既婚者を推す方なんて…」

「何を言っているの。貴方が未婚だから好きなファンなんてファンじゃないわよ。
アイドルを少しでも続けたかったら続けなさい。
ライブなんて年に1回でもいいわ。支えたかったらモデル業だけでもいいのよ。
でも貴方の大切な曲たちが、何も知らない後輩に歌われるのは嫌でしょう。」

「それは…嫌だ。」

「なら続けなさい。活動休止の会見として取り扱うわ。あと、結婚発表会見ね。
我が子の結婚みたいでとても嬉しいわ。」

ありがとうございますと言って少し世間話をして通話を切った。
そうすると通知が2件。
1件はWBCに招集されたからその時に会見をしたい。Aちゃんが良ければ、ということだった。
もう1件はWBCのオープニングパフォーマンスをして欲しいというものだった。
特にその辺はまだ予定がなかったので二つ返事でOKした。
アイドルがまだ続けられるのはとても嬉しい。ましてや社長から提案して貰えるなんて、より一層嬉しかった。