あなたへと歌う (ページ16)

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ライブが終わりシャワーを浴びてからスマホを見る。
通知が1件のみ来ていた。
私が気づいていたのを彼もわかっているようで今日は会えるのか、ということだった。
少し疲れていても関係ない。彼に合えば不思議とその疲れも取れるはずだ。
二つ返事で会えるよと言うとすぐ既読が着いた。少し怖い。
家まで来て欲しいという事だったので着替えてマネージャーさんに1度ホテルまで送って貰う。
二度手間だが仕方がない。バレてしまってはおしまいだ。

「着きましたよ。」
「…ありがとうございます。次お会いするのは…明後日ですよね。またお願いします」

そういい車から出る。
ホテルへ帰るとすぐ彼から電話がかかってきた。
わざわざ迎えに来てくれたようだ。疲れているだろうに申し訳ない、そう思いながらホテルの下まで降りた。

「お疲れ様、Aちゃん」

「ん、大谷こそ。わざわざごめんね。」

「全然。」

彼はそう言うと直ぐに私の右手を引っ張り握って歩き出しそのまま軽く握られた。
利き手では無い方で繋いでくるのが彼らしい。

「手……なんで」
「ん？嫌だった？」
「あ、いや…」

そういい覗き込んでくる彼。
彼からしたら本当に小さい私は彼の子供か妹に見られてしまう気がして外で手を繋ぐのはあまり好きじゃない。
彼と手を繋ぐのがどれだけ好きでも、妹や子供に見られたくは無いという乙女心だ。

「あー…恋人繋ぎの方がいいってこと？」

え、そういう事じゃないという前に繋ぎかえられてしまった。
大きくて男らしい手、久しぶりに感じる体温…手だけなのにすごくかっこよく感じてしまう。
男慣れしていないからであろうか。
気づいたら顔が赤くなってしまった。

「その顔良くないって…」

そんなに不細工だったのかな、確かにメイクも落として日焼け止めしかしてないし…大谷の耳が赤いのは気づかなかったことにしておく。