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事件 人間椅子 其の二 ページ8

着いたそこは用具の散乱、慌ただしい人々、本当に証拠が残っているのかすら怪しい様子である。



人々の真ん中にあるのはたった一つの椅子だった。


そこにあるのは不自然と思える豪華な椅子。


背もたれの美しい曲線がそれを一層強く感じさせた。



箕「おっ探偵。もう死体で見つかったあとだぞ」


江「…なんか君何時もいるよね。」


箕「いけないのか、俺は刑事なんだぞ。」



江「いや別に。」



『死体とはどちらに?』



Aがそう尋ねると箕浦はツカツカと真ん中の椅子まで歩き、ガコンと座面を外した。



すると。



そこには醜い男の死体があった。



腕や足はひん曲がっており、ギュウギュウに一つの躰が詰め込まれている。


右胸にはナイフが突き刺さっていて、そこから溢れた鮮血が、真っ赤に衣服を彩っていた。



どうやって入れたのか本当に疑わしい。

?「違うんです!私は殺しなんてしてない!」



室内に響き渡る声に反射的に振り向いた。



ふいっと目を向けると警官に抑えられた一人の男がいた。



額に脂汗をにじませ、目を丸くし、半狂乱となっている。


様子から察するに、おそらく彼が容疑者の疑いがかけらかている人物に違いない。



『どうしたんです、貴方は誰ですか。』



藤「わ、私の名前はと、藤堂と云うんです、本当に、本当にこ、殺しなんてしてません、信じてください!」



うわごとのようにガタガタと躰を震わせ精一杯の潔白を証明しようとしている。


『事件当時のアリバイは?』



藤「…この工房の二階にある、自室で本を読んでいました、、、」



箕「ホラ、こいつが犯人と断定するほか、どうやったって解決出来ないだろう?」



『何故、自 殺を考えないのです?彼の潔白は本物だと私は思いますよ。』



瞬きをしているのかすら怪しいような、冷淡な語り口調。



その一言はその場にいた人間をギョッとさせたに違いない。


この言葉事態には別段恐怖を煽る要素はなかったはずなのだが、彼女の風貌が故なのか、人間を何かしらの恐怖に叩き落すような、不可思議な力が存在した。



『彼は、どんな人間でしたか。』


藤堂にふわりと疑問を投げかけた。


そこには、答えなければならないと思わせる、

"何か" があった。

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マルフォイ - まず、ページを開けて下さったことにありがとうございます。これからも頑張っていくつもりなので、何卒最後までお付き合いください!! (2019年7月5日 22時) (レス) id: b79a2a39e4 (このIDを非表示/違反報告)
魔乃 - さっすがですね!とてもよかったです!更新お願いします!応援しています! (2019年7月4日 23時) (レス) id: 42385bad72 (このIDを非表示/違反報告)
マルフォイ - ありがとうございます!今度からの更新は「運命論者の或る否劇 其の一」で更新を続けていくつもりなので、そちらの方も宜しくお願いします! (2019年6月5日 22時) (レス) id: bae9fea7d4 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 好きです!(唐突)面白かったです!更新頑張ってください! (2019年6月1日 16時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:丸ノ内マルフォイ | 作成日時:2019年5月30日 23時

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