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雨降る街にて二人は踊る ページ42

外は、呆れ返るほどの豪雨であった。



何もかもを撃ち落としてしまうかのように、
慈悲のない。

Aは、傘を持っていなかった。


いつか、あの時と同じように。

彼女の脳裏をよぎるのは、いつになく、
あの闇医者(父親)のこと。


彼は、実際、彼女を立派に育て上げて
しまった。


完璧に育て上げてしまったから故の、この
惨劇とも云えるのかもしれない。

恨んでもいた。

だけど、それ以上に感謝の念を、ドブに捨てる
ことはできなかった。

やっぱり、ありがとうの一言が、一度でいいから云いたかったのかもしれない。

変なことを瞑想しながら、雨の街を歩いて
いた。


やあ、酷いなあ、神さんは。



そう思うと、頰に雫がしたった。


でもそれが、雨なのか、はたまた涙なのかは、
理解の範疇を超えていて、考えることが
できない。


それにしても、ここは何処なんだろう。


ヨコハマ…ああ、きっとそうだ。


だけど、ここはヨコハマの何処なんだろう。


いいや、私は知ってるはずなんだ、ここが、
何処なのか、私が、ここにいちゃいけない
のも、だめだ、こんなとこで止まってちゃ。


私には、帰って、謝んなきゃいけない人が、
いるんだから。

そう思っているくせに、足は動かない。

目の前がひどくぼやける。


白々している。


その拍子に、誰かが飛び出してきた。


ああ、私はこの人を知ってる。


この人は、私が誰よりも、



謝んなきゃいけない人____







乱「莫迦!」



そう云って乱歩は、Aの頰を叩いた。



『痛い…』



乱「僕が!どれだけ、君を!心配したと
思ってるんだ!何してるんだこんなとこで、



君が帰る場所は___



ねぇ、こんな場所じゃないんだろ?」




彼は、最後の方を、満足に云うことができ
なかった。



涙声になって、潤んで、そのせいで。

『ごめんなさい、ごめんなさい、私は、私は、
こんなはずじゃないです、ねぇ、私の
帰る場所は、ちゃんとあるんでしょうか、
私がいても、罪にならない、そんな場所は、』





乱「あるに決まってる。




ようこそ






武装探偵社へ」




雨は、激しく、降り続けていた。



________________________________

タイトルはハチさんの、

「雨降る街にて風船は悪魔と踊る」

からの拝借です。
云っときますけど、全然関係ないです。

何回か聞いたことありますけど、めっちゃ
黒い曲ですね…。
よかったら聴いてみて下さい。
夜に聞かない方がいいぞ!

終幕………なのか?→←親子の定義



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マルフォイ - まず、ページを開けて下さったことにありがとうございます。これからも頑張っていくつもりなので、何卒最後までお付き合いください!! (2019年7月5日 22時) (レス) id: b79a2a39e4 (このIDを非表示/違反報告)
魔乃 - さっすがですね!とてもよかったです!更新お願いします!応援しています! (2019年7月4日 23時) (レス) id: 42385bad72 (このIDを非表示/違反報告)
マルフォイ - ありがとうございます!今度からの更新は「運命論者の或る否劇 其の一」で更新を続けていくつもりなので、そちらの方も宜しくお願いします! (2019年6月5日 22時) (レス) id: bae9fea7d4 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 好きです!(唐突)面白かったです!更新頑張ってください! (2019年6月1日 16時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:丸ノ内マルフォイ | 作成日時:2019年5月30日 23時

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