いついつである ページ37
紅「なんじゃA。浮かない顔じゃのう。また鷗外に、何か云われたのかえ?」
『姉さん…否、何でもない』
地獄の様な、拷問ともとれる空間から解放されたAの顔は、その仏頂面ながらも青ざめているようだった。
自分の部屋へ戻ろうとしていたところ、紅葉に会ったのである。
紅「何も心配しなくてよい。私がいるんじゃ。お前を守ってやれる」
マフィアには、居場所があった。
しかしその居場所が提供されるのは、自分の
実績と異能があるからか、それとも、自分が
大切だからか。
彼女は知ることが出来ない。
『…私は、人を殺すことが、楽しいと思ってるんでしょうか、もう自分を、信じていけない』
涙のない罪の告発に、紅葉は顔を歪めた。
紅「はぁ、鷗外はそんなことを云ったのかえ?そのようなことを考えるべきではない。私は
そうは思わなんだ。もうよい、今日は部屋に
帰って休め。疲れたろう?」
紅葉は優しく云った。
しかし、鷗外が云ったことの、否定はしてくれなかった。
否定は、できなかった。
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「種明かし」から、一週間後_________
江「Aがいないだって!?だ、太宰!
そ、それは一体どういう事だ!」
うって変わって所は探偵社。
乱歩は太宰を問い詰めていた。
太宰はAがいなかったことに対しての
証言者である。
数日たっても出でこない彼女を怪しんで部屋を覗くと、その姿がなかった。
その事を乱歩に伝えるとこの様子である。
普段の余裕に満ち満ちた乱歩とはまるで全くの別人であった。
ひどく動揺して、冷や汗を頰に流しており、
いつもの猫目は大きく見開かれていた。
よく見れば少し震えている。
太「本当です。こんな事でつまらない冗談は
云いません。それよりも、彼女が何処へ行方をくらませたのかが重要では?」
的確な指示に、乱歩は口を紡ぐほかなかった。
江「じゃ、じゃあ如何やって居場所を突き止めるんだ!」
太「異能を使えばいいでしょう」
狼狽しているだけあって、常に浮かぶ筈の考えが簡単に思いつかない。
ハッとしたような顔になって、あたふたとふと懐から眼鏡を取り出した。
が。
そのまま乱歩はがっくりと、膝から力が抜けて伏せてしまった。
太「ら、乱歩さん?」
江「無理だ」
太「え?」
江「僕に彼女は、わからない」
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マルフォイ - まず、ページを開けて下さったことにありがとうございます。これからも頑張っていくつもりなので、何卒最後までお付き合いください!! (2019年7月5日 22時) (レス) id: b79a2a39e4 (このIDを非表示/違反報告)
魔乃 - さっすがですね!とてもよかったです!更新お願いします!応援しています! (2019年7月4日 23時) (レス) id: 42385bad72 (このIDを非表示/違反報告)
マルフォイ - ありがとうございます!今度からの更新は「運命論者の或る否劇 其の一」で更新を続けていくつもりなので、そちらの方も宜しくお願いします! (2019年6月5日 22時) (レス) id: bae9fea7d4 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 好きです!(唐突)面白かったです!更新頑張ってください! (2019年6月1日 16時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:丸ノ内マルフォイ | 作成日時:2019年5月30日 23時