112話▽思い出したように ページ16
『メモメモ？』
10月に入った
残暑という季節も過ぎて、少し肌寒くなってきていた。
今日はカフェ・カラメルの休業日だ。
"来季の新メニュー考案会"という名目で、自分はプリン様に呼び出されていた。
「そう。ママに言われて食べてみたんだけど……すっごいマズかったのよ！？」
『ほぉ、やっぱ悪魔の実って味悪いんですね』
プリン様はママさんの命令で、男を騙したり騙さなかったりしている。
その時にきっと役立つと、彼女は悪魔の実を渡されたそうだ。
『そんで？もう能力は使えるんですか？』
「一応使えたわ。
昨日も"カモ"の記憶操作をしてきたし」
『鳥さんのカモではなさそうですね』
「まぁ……でも慣れるにはもう少し時間がかかりそう」
メモメモ……名前は可愛いがなかなか恐ろしい能力だな！
流石悪魔の実、失うモノもあるが得られる力は大きい。
「……それで、私」
『？』
「その……嫌なこととか、あるでしょ？
今の私なら、どんな記憶も消せるんだけど」
プリン様は目を逸らしながらそう言った。
そんなこと考えていたのか、この方は。
あの航海での言葉には嘘偽りはなかったのか。
本気で……自分に寄り添おうとしているのか。
期待しちゃうでしょうが。そんなことされたら。
『……ありがとうございます。
でも結構ですよ。そんな心配しなくても』
「！」
『そりゃ嫌な記憶なんて正直ごまんとありますけど、こうして今まで生きれてますし。
それに……そういうのあっての、今の自分ですから』
「……そう、そうよね」
"やっぱり今の話はナシ！"と急に元気になるプリン様に、自分もつられて笑顔になる。
『あと不慣れな能力使われて、脳内の仕事スケジュールまで消されたら困りますしねぇ。
来週再来週の収録仕事に年末年始生放送、来年の4月に入った長期ロケも──……』
「私の腕が信用できないって言うの！？」
『いやいや！それほど"悪魔の実の能力は恐ろしい"って話ですよ』
「〜〜もう！
Aのために
そんなこと言うなら、このムースもモービル兄さんに……」
『あーッ！悪かったですって！！
謝りますから、ほらこの通り！！！』
客が1人もいないこの店が、自分とプリン様の笑い声だけで満たされてゆく。
正直楽しい。彼女と一緒に笑うのは。
こんな風に過ごせる相手を……何と呼ぶべきだったか。
──嗚呼そうか、彼女は"友達"だった！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なめこ(プロフ) - 万さん» 万様、温かいコメントをありがとうございます！駄洒落は割と丁寧に作ってたのでそう言って頂けると嬉しいです。引き続きマイペースで頑張っていきます！ (2022年9月30日 19時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
万(プロフ) - 初めまして、設定も珍しく内容もとっても面白かったので一気に読んでしまいました！！主人公の駄洒落もついつい楽しみにしている自分がいました！今後も応援しています。 (2022年9月30日 0時) (レス) @page50 id: b14a1161fa (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» 橋本アリィちゃん様、感想ありがとうございます！また返信遅くなり申し訳ございません。今後もマイペースに作品更新していくので、よろしくお願いします！最後までのご清覧、本当にありがとうございました！ (2022年9月10日 13時) (レス) @page19 id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても良いお話でした！今後も頑張って下さい！(*´ω｀*) (2022年1月5日 11時) (レス) @page50 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 烏羽Pさん» 鳥羽P様、ありがとうございます！この作品で少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。今後も自分のペースで作品投稿を続けていくつもりなので、どうぞよろしくお願い致します。改めまして、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 13時) (レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なめこ | 作成日時：2020年10月30日 18時
