▽掬い髪 ページ16
▽豹の嫉妬話
お察しの通り、私は手先が器用では無い。
だから思い切って髪を伸ばしてみたものの、正直持て余していただろう……私1人では。
「ここいらでェ、こう！
こうすりゃ手毬の如き艶やかな〜"団子結び"一丁上がりッ」
『おぉ〜！』
そんなワケで、暇があれば都度クマドリさんに聞いているのだ。ヘアアレンジを。
彼もまた長髪の持ち主で、私よりよっぽど手入れをしているようだし……
……私がガサツなだけかしらん？トホホ。
『プロの手付きですね』
「褒めても何も〜出や〜しねェよ〜！
更にちょちょいと摘み出しゃ、当風結髪にならァ」
『わ、本当だ！イマドキって感じがします』
鏡に映された私の頭には、ふんわりとした
なるほど、少し髪を乱すと抜け感が出るんだなぁ。勉強になる。
「……」
……そして鏡には、私の後ろで何故か不機嫌そうに顔を歪ませるルッチさんも映り込んでいた。
何で？脈絡もなく！？
同じ部屋にいるブルーノさんとカリファさんも、そんな彼の様子に触れないわけにもいかなかったようで。
「いつにも増して眉が上がってるぞ」
「本当、あなたほど分かりやすい諜報部員もいないわ」
うーん、確かに。ルッチさんって笑いこそしないけれど、割と表情は豊かなんだよね。
嫌な時はとにかく嫌そうな顔するし！
『……どうしたんでしょう？ルッチさん』
「さァ、おいらには見当も……」
だけど今回ばかりは理由も分からず。
私とクマドリさんは顔を寄せ、聞かれぬようヒソヒソ声で話す。
するとルッチさんは腹立たしげに、音を立てて椅子から立ち上がり──そのまま部屋を出て行ってしまった。
ほ、本当に分かりやすい……分かりやすく"超・イライラモード"！
一連を見届けたブルーノさんは溜め息を吐き、こちらに向き直る。
「……まァ、気にするな。羨ましいんだろう」
「『？』」
("羨ましい"？)
私とクマドリさんが？
何で、一体何がそんな？？
(……！)
そ、そうか。ルッチさん──……
『──
私、ルッチさん呼んできます！！！』
「「「え」」」
(きっと、私達とヘアアレンジを学びたかったんだ！)
ルッチさんも綺麗な長髪だし。拘っていてもおかしくない。
意図せず仲間外れみたいにしてたのかな。
まだそう遠くへは行ってないだろうと、私は部屋を飛び出した。
「多分分かってないな」
「確かに特権かも、"髪を触る"って。
あのしかめっ面なら怯えられてもやむ無しだけど」
「……合点が行ったぜい！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なめこ(プロフ) - ワサ六さん» ワサ六様、掲載承諾の旨ありがとうございます！本当にイラストが可愛くて、今も見返す度に叫んじゃってます(笑) 引き続きよろしくお願いいたします〜！ (5月8日 12時) (
レス) @page12 id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
ワサ六(プロフ) - なめこ様に喜んでもらえてすごく嬉しいです、ありがとうございます‼掲載の件は全然okです。嬉しいです。これからもなめこ様の作品楽しみに待っています。 (5月7日 21時) (レス) id: 2f36cd8639 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - ワサ六さん» ワサ六様、勿体なきお言葉感謝します。それにッ滅茶苦茶可愛い〜主人公イラストまで！？！？！？本当にありがとうございます(感涙) 差し支えなければ、こちらのイラストを本作内で紹介することは可能でしょうか……？(画像URL・作者様ページの掲載を予定しております) (5月7日 21時) (レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
ワサ六(プロフ) - キャラと主人公の絡みが好きです。本編のストーリーも作りこんであって、読み直すたびに感動しています。 主人公ちゃんの想像図が違かったら申し訳ないのですが、描いてみましたhttp://uranai.nosv.org/img/user/data/b/7/1/b71223cc1592d17cd402898327c4c5b5.jpeg (5月7日 15時) (レス) id: 2f36cd8639 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 酢さん» 酢さん、温かいコメントありがとうございます！私がネロ君好きなのもあり(笑)、今後もちょくちょく出していけたらと思います。引き続き更新頑張ります〜！ (2023年3月4日 8時) (レス) @page3 id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なめこ | 作成日時：2023年2月27日 14時
