4話▽秘書官は2度死ぬ ページ6
司法の塔6階、指令室。
ここには私と長官と──部屋のドアの方には暗殺帰りの黒づくめ集団。
とにかく怖い。勤務1日目にしてもう帰りたい。
今日からここで寝泊まりできるの私！？
「コイツはアレだよ。今日から入った
『る、るるるルース・Aですッ……！』
震え声で名乗ると……彼らは特に何も言わず、そのままスパンダム長官に向き直った。
あ、私のことはスルーな感じで！？
いや絡まれたら絡まれたで恐怖ではありますけども！
「任務遂行致しました。報告書はまた後ほど」
「ご苦労だったな。
もう今日は各自待機で良いぞ」
スパンダム長官もそれに軽く返事をする。
私はまるで、空気のよう。
(そりゃ、そうか)
サイファーポールの方々は"超"が付くほどのエリート集団。
私みたいな凡人が本来いるべき場所じゃないのかも。
相手にされなくて当然だ。
今まで通り書類仕事と、時々雑用だけしていれば良い。
職場は変わっても……やること自体は以前とそう変わらなさそうだもん。
そんなことを考えていると突然部屋中に絶叫が響く。
「あっつゥァッ！！！」
何を血迷ったのか、長官は勢いよくコーヒーカップをひっくり返した。
中身の茶色い液体が溢れて宙を舞う。
そして彼は少々ドジなようで……その衝撃から、偶然床に落ちていた紙を踏んづけつんのめる。
さらにそこに、私の自前の
──ドンッ！
スパンダム長官に勢いよく背中を押される。
私はよろけて、部屋の大きな窓にぶつかった。
"バリン！"
「『あっ』」
長官と私の漏れ出た声が重なる。
彼は"しまった"と言うような顔をして……黒服の人達も少し驚いた表情をしていた。
ここは6階。
司法の塔には0階もあるから、正確には地上7階と言えば良いだろうか。
とにかくこの高さから落ちれば普通は助からないワケで。
気持ち悪い浮遊感に、気づけば大声を出していた。
『──ウワァアアアアアアアア！？！？！？』
砕けた窓ガラスと共に真っ逆さまに落ちてゆく。
当然武術も体術も習得していない私はなす術もなくて。
段々と近づいてくる地面。
私はひたすらに叫ぶことしかできなかった。
ウソ、また死んじゃうのぉ！？
死ぬって……なんて恐ろしいことなんだろうか！
先日の"能力"が頭の隅にチラついたが、そこにはまだ生き返れる保証はない。
……つくづくロクな死に方してないよっ！
私は祈るように目を瞑りながら……これから来るはずの"2度目の死"に恐怖した。
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
