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35話▽弱点 ページ37

戦闘開始から3分。
気づけば残る相手方の戦力は、厳つい男と1人の手下だけになって──……



「動くな」

『!』



男のドスの効いた声に思わず動きを止める。


彼は腕の中の少年に銃口を突きつけていた。



「1歩でも動いてみろ。コイツはあの世行きだ」

「ッ卑怯だぞ!」

「お兄ちゃん!」


少女が恐怖で泣いている。

少年も言い返してはいるものの、声が若干上擦っていた。



『卑劣な……!』

「撃て」

「あ、あいッ」



男に命令された手下は私に向かって発砲する。

当然避けることもできない私は──……





『ぐ……!』



──肩に1発、鉛玉をくらった。





(鉄砲玉……痛……!)



私は今まで即死ばかりしていたため、長引く痛みには慣れていなかった。
少しでも痛みを和らげるため呼吸を整える。


手下がもう1発撃とうとしたその時、妹ちゃんが男にしがみついた。



「お兄ちゃんを離してえ!」

「ッ、ガキ……」



男は銃口の先を少女に変える。


なんとか阻止しなきゃ……!





(……!あの技なら)





やったことはない。
でも"お手本"なら何度だって見た!



私は記憶を頼りに、見様見真似でフォームを作る。





『──"指銃"ッッッ!!!』



指先から放たれた銃弾(・・)は、的確に男の利き手を撃ち抜く。



男は思わず拳銃を手放した。





「ぎゃ!」

「兄貴!」

「こ、このッ……」





もう怖いものはない。



──私は全力で戦える!!!








「悪党が倒れとるのは分かるが、通報者(・・・)まで倒れとるとはな」



能力の効果が切れ、横になった状態で通報したら20分くらいで海軍が来た。
"ぶわっはっはっは!"と豪快に笑う男の声が傷口に響く。



そう、今回の戦いで気づいたことが1つ。

変身中に受けた傷は能力解除後も治らないらしい。
おかげで左肩はまだ全然痛い。



「おねーちゃんが助けてくれたの」

「かっこよかった!ありがとう」

「!
そうかそうか……名誉の負傷ってヤツじゃな」



海軍救護班の方に手当てをされながら、私は兄妹に笑い返した。

すると海軍の男は目の前にドカリと座る。



「お前さん、ルース・Aじゃな」

『!どうして……』

「いやなに、入職2年目でサイファーポールに飛ばされたヤツなぞ有名にならん方がおかしいわい!」



トホホ〜!と泣きそうになる私の前で面白そうに笑い飛ばすこの男ッ!

でもこの後軍艦でエニエスロビーまで送ってもらえたので、取り敢えずチャラにしようと思った。








「──政府の人間にも、マトモ(・・・)なヤツはおるんだのう」

36話▽3変化→←34話▽おやすみヒーロー



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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます!これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます! (2020年12月6日 10時) (レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです!これからも頑張ってください!! (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なめこ | 作成日時:2020年11月12日 21時

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