27話▽憩いの秋 ページ29
季節はとうに秋になったはずなのだが、あまり実感が湧かない。
おそらくそれは夜が来ないからだろう。
夜が来なければ、日の短さを実感することもない。
「"不夜島"には慣れたかァ？新入り」
指令室で雑務をこなす私の背中に、ジャブラさんが言葉を投げかける。
彼は指令室の長いソファにゴロリと寝そべり、頬杖を付いていた。
『なんというか……時計がないと時間を感じないです』
「まァおれ達と違って、お前は外にほとんど出ねェしな」
ジャブラさんは、CP9の中では比較的話しやすい方だ。
なんだかんだこうやってこまめに話しかけてくれるし……
「──で？
ギャサリンはおれのこと何か言ってたか！？」
……まぁ真意はこんなもんだろうとは思ってたさ！
私が苦笑いで返すと、ジャブラさんは"チキショー"と頭を掻きむしる。
こうして見ると、彼はとても表情豊かだな。
"暗殺者"ってなんとなく無表情なイメージがあったから。
(ジャブラさんって、どうして……)
「"CP9に入ったか"って？」
『！』
見開いた瞳には、ニヤリと笑うジャブラさん。
ヤバ、無意識に口から漏れてた……！
『すッ、すみません！
私なんて不躾な質問を……』
「別に気にしてねェよ。
おれは親父に
彼は本当に気にしていないかのように、軽く話し始める。
「きっと良い金になったんだろうな。
政府に買われたおれは、気づいたらココに飛ばされてたってワケだ」
"なんせグアンハオじゃ１番の実力者だったしな！"と笑うジャブラさんに、私はなんと返せばいいのか分からなかった。
あまりにも、"知らない世界の話"すぎたのだ。
「……オイ、そんな辛気臭ェ顔すんなよ。
おれはこれで良かったと思ってるぜ？」
『え……？』
「考えてもみろ。
ガキを売るようなクズと暮らしてくよりかは何倍もマシだろ？」
気づけば彼は起き上がっていて、ソファの上であぐらをかいていた。
「それに……おれにゃ
どこか遠い目をしてそう呟くジャブラさんの言葉は、嘘だとは思えなかった。
これも演技の可能性はあるけど……昔を懐かしんでいるような、そんな目をしていて。
「ココにはギャサリンもいるしな！」
『……ふふふ』
(勝手に憐れむのは、ダメなのかも)
息の詰まるような環境の中、毎日課される過酷な任務。
せめて
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
