6話▽年下の彼 ページ8
「開けるぞ？」
『だ、大丈夫です……』
帽子を被った長鼻の男は私を肩に担ぎながら、空いた手でドアを開ける。
6階から落ちた私は想像通り死んで、そして生まれ変わった。
その後何とか指令室に戻るもやはり10分程経ったら力は抜けて。
そんなワケで私は今、CP9の1人に自室へ運んでもらっていた。
口調は少し古臭いけど……見た感じ若そうに見える。
「何じゃ」
『え！
い、いや……おいくつかなと』
「わしゃ16歳だわい」
『エッ』
若！私より若いよ！？
1つ下という衝撃の事実に目を見開いている間にも、彼は私の部屋にズカズカと入っていく。
「ベッドの上で良いか」
『あ！は、はい。
ありがとうございま……えっと』
「カクで良い。お前さんの方が年上じゃろ？
堅苦しいのはナシじゃ」
"長い付き合いになりそうじゃしのう"と言いながら、カク……は私をベッドにおろした。
彼はその隣にズシリと腰掛ける。
「弱いフリでもしとるのか」
『え？』
「さっき月歩を使うとったじゃろう。
六式はその1つを習得するにも、ある程度の実力を要するもの」
私は指令室に戻る際、人間離れした技を使った。
空を蹴るような感覚。
普段の私には絶対できないが、あの時はできたのだ。
私も海の戦士ソラみたいに──空中を自在に動き回れた！
「凄い顔しとるぞ」
『はっ！？
い、いやあの違くて！
私本当は全然弱いんです……けど』
「ほう？」
『死んだら力がみなぎって、一時的に強くなるというか！
だからそんな、弱いフリとかじゃ、ない……よ』
CP9相手にタメ口など恐れ多過ぎて所々詰まるも、何とか相手に伝えられた。
カクは大きな瞳を瞬かせ、不思議そうに首を捻る。
「面白い能力じゃな」
『……じ、自分でもそう思う』
「ま、とにかく生きてて良かったのう。
先代の秘書官はつい最近爆死したもんじゃから」
そう言えばスパンダム長官も"2代目"って言ってたっけ。
秘書官のポストも最近できたんだな〜って……
……え？
『ば、爆死？』
「何でも休暇中に命を狙われたそうでの。
わしらは政府の命令とは言え、恨みを買うことも多い。
諜報部員でなくとも死は間近にあるっちゅう話じゃな」
どっこいしょ、と勢い良く立ち上がるカクにベッドのスプリングが音を立てる。
私は彼の言葉が未だに理解しきれず硬まっていた。
……実際、まだ動けないワケだが。
「そいじゃ、これからよろしくの。
あまり死なんと良いな！」
彼のトドメの一言に、私は力無い返事しかできなかった。
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
