25話▽スマートにいきましょう ページ27
雑用係……ではなく秘書官やってます、Aです！
ここで働き始めて3ヶ月ほど経ったよ。
「ご苦労だったな」
「セクハラです」
「労いの言葉も！？」
長官とカリファさんの、このやりとりもだいぶ見慣れてきた。
(今のがセクハラなのかは、よく分からなかったケド)
カリファさん、実のところ長官と話すのが面倒なだけなのでは……？
もちろんセクハラはダメなんだけど！
"失礼します"と顔を背け、彼女はさっさと指令室を後にした。
カリファさん、スマートな方だなぁ〜
この前一緒に出かけた時も、"大人"って感じがしたし。
私と1つしか変わらないのに。
「ったく、カクもだが最近の若いヤツらは冷たいなァ。
あーA、コーヒー淹れてきてくれ」
私もあんな風にテキパキとした秘書官、じゃなくって雑用係に！
……あれ、逆かしらん？
給仕室からコーヒーポットを運んでいる道中、階段でカリファさんを見かける。
彼女はゆっくりと……どこか慎重な様子で階段を降りていた。
「キャッ」
『ちょお！？』
するとどういうわけか、彼女は目の前の階段を踏み外し前のめりに倒れる。
階段の下側にいた私は、必然的に彼女を受け止める立ち位置に！
──ドサッ！
体力も筋力もない私は彼女を支えきれず、
「！ごめんなさい」
『……だ、大丈夫です……』
私の上で倒れていたカリファさんは慌てて起き上がり、上から退いてくれた。
階段に打った頭は痛むけど、死ななくて良かったよ！
私が手にしていたコーヒーポットは、無惨にも床に転がっている。
「あ……コーヒーが」
『そ、それなら私が淹れ直しますのでっ……！
それよりお怪我はないですか！？』
「わ、私は平気。
……実は任務中、眼鏡にヒビが入ってしまって」
さっきから視界がおかしいの、とばつが悪そうに呟くカリファさん。
……なんだか少し、彼女の素？を見れたような気がした。
「……そんなに私が間抜けかしら？」
『え！？い、いやいや！
ただいつもスマートなイメージしかなかったので、えへ……
"なんか可愛いな〜"と……』
「かッ……！？」
慌てて訂正する私の前で、カリファさんは少し頬を赤くする。
しかしその後コホンと咳払いをすると、彼女の顔はいつも通りに。
「……失礼するわ」
『は、はい！』
そして何事もなかったかのように、カリファさんは私の横を通り過ぎていった。
(……スマートだぁ)
私は長官にコーヒーを届ける任務も忘れ、しばらく彼女に見惚れていた。
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
