18話▽本音スイッチ ページ20
「ギャーッッ！」
『えェ！？』
タイミング良くスパンダム長官がコケて、タイミング良く近くの棚にぶつかり。
その上からタイミング良く壺が落ちて、丁度その下にタイミング良くいた私は──……
ガチャン!!!
タイミング良く、死んだ。
「……アー、大丈夫か？」
気まずそうな顔をした長官に顔を覗き込まれる。
ゆっくり上半身を起こすと、視界には私の黒……ではなく白いスーツ。
やっぱり私、今ので死んだのね……
『……死んで大丈夫なことあります！？』
鈍器で殴られたような痛みを頭に感じながら、私は勢い良く立ち上がる。
そのあまりの勢いに長官は体を震わせた。
「うおッ！わ、悪かったって！」
「長官の2度目の犯行現場に居合わせてしまったーチャパパ」
私でも長官でもない声。
第三者の登場に、私達は目線をずらす。
フクロウさんだ。
彼は指令室の天井付近の壁に張り付いていた。
……いつからそこに！？
「おまっ、フクロウ！
……今見たことは、あまり言いふらさないでくれ」
「それにしてもAは本当に不死身なんだなー」
「スルー！？」
『だからって何度も痛い思いするのは嫌ですよ！』
何度か死んでみて分かったことがある。
生まれ変わると……まるで私じゃないみたいに、どこからか勇気が湧いてくるのだ。
普段の私にはとても実現し得ないようなことも出来てしまうような。
『──スパンダム長官がドジなのは構わないのですが！
もう少し周りを気にかける努力はしてください！！
あまりにも不注意過ぎますよッ！！！』
だからこんなことも言えてしまったり。
まぁこちとら何度か殺されてるワケだし。このくらい言ってもいいよね？
……なんて考えに至るのも、今の私と普段の私が違うことに繋がっているのだろう。
「グゥ！？……す、すみません」
「"秘書官に押され気味な長官"、これは面白スクープなのだー！」
"チャパパパー！"と独特な笑い声を残して、フクロウさんは去っていった。
部屋に残されたのは、どこか萎びた長官と生き生きとした私。
上司相手に流石に言い過ぎたかな……と考えた私は、この後彼に謝罪をすることに。
『すッ、すみません！
「ガッ！……お前、死体蹴りって知ってるか……？」
10分後、例の如く力が抜けて床から動けなくなる。
そんな私を長官は抱きかかえ、指令室のソファに寝かせてくれた。
……憎みきれないなぁ〜！
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
