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「グ……！」
『で？
あのスクーター、何が"特別"なんですかぁ？』
倒れた男の上に腰掛け、顔を見下ろす。
苦痛で歪められた彼の顔には、はっきりと後悔の念が浮かんでいた。
「ハァ……ハァ……！何者だお前！！
何故おれの体は……倒れたきり動かねェ！！！」
『今はこっちが質問してるんですけど』
「ガッ！」
1発指銃をお見舞いしてやる度に、男は少しずつ弱っていく。
急に体の自由を奪われ……敗北を悟った彼は、その後命乞いをしてきたのだ。
"おれを見逃せばあのスクーターをタダでやるッ！
アレは特別なモンなんだ！持っといて損はない！"
「──ソイツは……水上用のスクーターだ。
しかも底に、海楼石を敷き詰めてある……！ゲホ」
『海楼石？』
「！
そうだ……だから
元は職人から騙し取ったモノだが……商品自体は高品質！
おれはソレで海軍から……ふんだくろうとして……いたんだからな」
肩で息をしている様子を見て、仕方なく自分は立ち上がってやる。
まーどっちにしろコイツは動けないけどさ。
さっき目を合わせて催眠をかけてやったからね。
『随分と面白い形のスクーターですね？』
「……職人曰く、空島の"ウェイバー"ってヤツを改良したそうだ。
仕組みはよく分からねェが……ハァ……水力で動く。
……だから！
ソレをやるから……おれの体を解放しろ……ゼェ……！」
ほぅ？ソイツはなかなか良い商品だな。
この先海での仕事もあるかもしれないし……船嫌いな自分にピッタリなのでは？
じゃ、この男の指示通りタダで貰ってやるか。
『良いですねぇ〜気に入りました！
このスクーターは貰ってあげますよ』
「！
……あァ！それじゃあ……」
『ま、アンタに消えてもらうことに変わりはないんですけど』
嵐脚、と呟き足を振り抜く。
男は断末魔の叫びを上げる暇もなく息絶えた。
(やぁー今日はついてるかも)
良さげな乗り物を手に入れちゃったし、この後報酬金も貰えるし。
日頃の行いかな？……あは、なんてね！
横たわる男の脈を確認した後、鼻歌まじりで立ち上がると……
「……ぁ」
『！』
路地裏の入口に、小さな影が1つ。
山桃色の髪を2つ結びにしたその姿は、以前どこかで見かけた姿で──……
"──あははッ！"
(……確か、この子)
さっき、劇場の最前列に座っていた？
予想外のお客様に、自分は思わず立ち尽くしてしまった。
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なめこ(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» コメントありがとうございます！こちらも思いつき次第更新していきますので、今後ともよろしくお願いします！ (2022年9月10日 17時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！もし続編があるのなら、続きを楽しみにして待っています！(*´ω｀*) (2022年1月5日 12時) (レス) @page20 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年10月30日 19時
