▼職人カタギ ページ1
▼87話「貰いっぱなし芸人」の前日譚
▼クラッカー視点
「クラッカー、今年もAにお菓子を渡すのか？」
ホワイトデーの約2週間前。
カスタードとエンゼルの3人でおやつを食べていれば、まァその手の話題も避けられず。
「い、いや別におれは……
って何で去年渡したこと知ってんだよ！？」
「本当クラッカーは分かりやすいわね」
「鎌をかけてみて正解だ」
「ぐ……」
何故か昔からコイツら2人には隠し事ができない。
おれが"分かりやすい"なんて言うが……お前らがだいぶ狡猾なんだ！そうに決まってる！！
カスタードは身を乗りださんばかりにこっちを見てくるし、エンゼルはそんなおれ達の様子を楽しみながら優雅に紅茶を啜っていた。
「それで？何を渡すんだ」
「え？何って……そりゃ渡すならビスケットだろ」
「「は？」」
「え？」
マズいことでも言ったか？
だっておれは"ビスケット大臣"だぞ！
ビスケット以外の選択肢なんてないだろ。
「もしかして去年も、ビスケット？」
「お、おう」
「はぁ……これだからお前は」
「おい！どういうことだ」
2人は呆れたようにため息をついた。
バカにされたようで腹が立ち、おれはつい大声を出してしまう。
「ビスケットの贈り物の意味を知っているか？」
「意味ィ？」
「お菓子の贈り物っていうのは、意味があることも多いのよ」
そんなことは知っている。何度も言うが
尤もおれは気にしたことないが……ビスケットを送る意味なんて、当然理解しているつもりだ！
(……ん？待てよ。
確かビスケットの意味って──……)
「ビスケットは……"友達のままで"」
「！」
友達、ともだち、トモダチ……
おれの中で、カスタードの声が反響する。
「……何でおれがフラれたみたいになってんだよ！」
「1人で騒がしいヤツだ」
「フフ」
違う！別に良いだろ友達で！！
いや、こちらは"友達になりたい"とすら思ってない！！！
「クラッカー」
「ア！？」
「クラッカーは、Aをどう好きなの？」
エンゼルの問いかけに、動きも思考もピタリと止まった。
どう好きか？
それは友達としてか……そ、そういうのかって？
いや、まず前提がおかしい。
「そもそも好きじゃない！
本当に好きならアイツのことでこんなモヤモヤしたりイライラしたりしないだろ！！」
「……御回答どうも」
エンゼルはまた紅茶を1口。
……何かおれだけ余裕がないみたいで気に入らんな。
テーブルを指でトントンと叩くと、カスタードが"そうだ！"と呟いた。
「それならクラッカー、今年のお菓子は──……」
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なめこ(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» コメントありがとうございます！こちらも思いつき次第更新していきますので、今後ともよろしくお願いします！ (2022年9月10日 17時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！もし続編があるのなら、続きを楽しみにして待っています！(*´ω｀*) (2022年1月5日 12時) (レス) @page20 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年10月30日 19時
