106話▽たがう思惑 ページ10
私達の前に2名の罪人が連れてこられる。
ニコ・ロビンとカティ・フラム。
両者共に、まるで悪事を働いたとは思えないほどに堂々とした面持ちであった。
"犠牲を出さねば目的は果たせない"とスパンダム長官は言う。
しかし犠牲の上に成り立つ正義など、あっても良いものなのか。
排除された者達から目を逸らすことを、平和と呼んでも良いのか。
文字通り長官に
そして犯罪者だからと無抵抗の人間に殴りかかる長官に、頭の中で"プツリ"と何かが切れるような気がした。
「待って……約束が違うじゃない！！！
私があなた達に協力する条件は"彼等を無事に逃がす事"だった筈よ！！！」
(今の私はCP9)
「どうしようもねェクソだなコイツら……仁義の欠片も持っちゃいねェ」
(彼等の護送が私達の任務。
それを邪魔だてするようなことは許されない)
「黙れコノクズ共ォ！！！」
(でも、もう我慢出来ないよ)
『──良い加減にしてください！！！』
2人を足蹴にする長官が、ピタリと動きを止める。
彼の靴には飛沫した血痕が貼り付いていた。
『……相手が罪人であろうと、あなたの不当な暴力行為が許されるわけじゃない』
死ぬ前の私は小心者で臆病で。だけどそんな私でも、力の限り睨みつけてみせる。
それ程までに、今の私は怒っていたのだ。
あまりにも非道な行為に、憤らずにはいられなかったのだ。
「……なァにを必死になってんだか」
『……！』
「おれの懐の深さと機嫌の良さに感謝するんだな。
然もなくば今頃お前も
頭をポンポンと軽く叩いてくる長官は、まるで私を小馬鹿にしているようだった。
「──では衛兵！この2人を鎖で繋いでおけ！！」
そして何事もなかったかのように横を通り過ぎていく彼に、私は必死で唇を噛み締めることしか出来ない。
私の言葉はきっと耳に届いていない。
そのことがただひたすらに悔しくて。
すっかり黙り込んでしまった諜報部員の方々に、長官は"祝杯"の誘いをする。
しかし彼等は皆、そんな気分でもないと言った風であった。
まだぐったりとしている倒れた2人を見て、胸が痛む。
設計図を握る、過去に世界政府役人への暴行事件を起こしたとされる者。
(……彼等の口から、話を聞きたい)
「……」
指令室を立ち去るルッチさん達の目には、私や長官がどう映っていたのか。
当時の私達には知る由もなかった。
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なめこ(プロフ) - 綺世さん» 綺世さん、コメントありがとうございます！ルッチの魅力を伝えるのが中々難しかったので、そう言っていただけて嬉しいです〜……！機会がありましたら、次作の際も宜しくお願いします！ (2023年3月4日 9時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品に出会い、ルッチ推しになってしまいました。次作も楽しみにしています！執筆お疲れさまでした！ (2023年2月28日 14時) (レス) @page50 id: 782601e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - Jaさん» Jaさん、嬉しいお言葉ありがとうございます〜！長い作品なのにありがとうございます……笑 引き続き更新頑張って行きます！ (2023年2月1日 19時) (レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
Ja - とても面白くて昨日から一気読みしました！！更新これからも頑張ってください！！ (2023年2月1日 9時) (レス) @page40 id: f8125b9f7e (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 酢さん» 酢さん、ありがとうございます……ご満足いただけたようで何よりです笑 CP9沼の民の妄想に、最後までお付き合いいただけますと幸いです！ (2023年1月22日 16時) (レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2022年12月3日 15時
