136話▽道は別れど ページ40
「君がルース・A秘書官だね？」
ある日のこと。私の病室に見知らぬ顔がやって来た。
その男は、口元と顎に大層立派な白髭を貯えている。
……結構ご高齢のようだけど。誰だろう？
帽子を取ってお辞儀をする彼に、私も反射的に頭を下げた。
『は、はい！
……あの。失礼ですが……』
「ホッホッホ！心配せずとも初対面だ。
私はジョルジ。
君と同じく世界政府に所属している」
(ジョルジ、って)
それは裁判所の記録で見た、エニエスロビー"先代裁判長"の名前。
今から8年前……造船技師・トムを裁いた張本人だ！
『じょ、ジョルジ裁判長！？
一体どうして……！』
「今はバスカビルのヤツが務めているがね。
彼から噂はかねがね聞いていたよ。
CP9に
『バスカビル……裁判長が？』
それ本当に私のこと！？……と疑いそうにもなったけど。
CP9で彼と交流があるのは、恐らく私だけな気がする。
結構厳しい人なんだけど、そう思われてたのは素直に嬉しいなぁ！
「今日ここに来たのは……そんな君へ、たっての願いがあったからだ」
『！』
「"大海賊時代"と呼ばれる今が、正に過渡期だと私は考えている。
戦火に怯え眠れぬ者達を、命の尊さを訴える者達を……"法"により"人"が守る。
そう遠くない未来、そんな時代が来るだろう」
ジョルジさんは私を真っ直ぐに見つめる。
「──司法を築く、手伝いをしてはくれまいか」
『……』
「我々の世界のソレはまだまだ未熟。人手も恐ろしく足らないのだ。
君が良ければ……是非、若い力を貸してほしい」
"海賊王になって……作るためだ。新時代を"
(……麦わら)
私は政府の役人。
海賊になどなるつもりは毛頭ない。
だけど私だって作りたい。
変えたいんだよ、今の時代を。
……私に出来るやり方で。
"私にも、変えられますか？"
『私にも……』
「！」
『──私にもどうか、お力添えさせてください。
出来ることなら何だってやらせていただきます』
私達は同じ未来を視てるのかな。
それなら尚更、後れを取るわけにはいかないね。
……次に合わせる顔がなくなるもん。
ジョルジさんは満足気に頷くと、ベッドの脇に
「ホッホッホ……良い返事を聞いた。
そいつはバスカビルからの見舞い品だ」
『……本日はありがとうございました』
「こちらこそ。
君と共に働ける日を、心待ちにするとしよう」
礼儀正しく再度お辞儀をされる。
私もまたお辞儀を返せば、彼は目尻に笑いジワを浮かべた。
『"激難！司法試験対策集"って……裁判長……』
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なめこ(プロフ) - 綺世さん» 綺世さん、コメントありがとうございます！ルッチの魅力を伝えるのが中々難しかったので、そう言っていただけて嬉しいです〜……！機会がありましたら、次作の際も宜しくお願いします！ (2023年3月4日 9時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品に出会い、ルッチ推しになってしまいました。次作も楽しみにしています！執筆お疲れさまでした！ (2023年2月28日 14時) (レス) @page50 id: 782601e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - Jaさん» Jaさん、嬉しいお言葉ありがとうございます〜！長い作品なのにありがとうございます……笑 引き続き更新頑張って行きます！ (2023年2月1日 19時) (レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
Ja - とても面白くて昨日から一気読みしました！！更新これからも頑張ってください！！ (2023年2月1日 9時) (レス) @page40 id: f8125b9f7e (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 酢さん» 酢さん、ありがとうございます……ご満足いただけたようで何よりです笑 CP9沼の民の妄想に、最後までお付き合いいただけますと幸いです！ (2023年1月22日 16時) (レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2022年12月3日 15時
