97話▽迫るタイムリミット ページ1
"法"とは人を守るために在るものだ。
それにより人が人らしく、生きる権利が保障されるべきで。
『"CP9長官"……』
それなら歴史を研究する考古学者達が、犯罪者として命を絶たれているのは？
古代兵器同様、歴史というのはそれほどまでに危険な物なのか？
……"死罪"に値するほど？
バスカビル裁判長が書類整理をする傍ら、私は手にした事件記録を1行1行読み込んでいく。
それは今は亡き
あまりにも酷く、凄惨な記録。
法に背いた研究者達のみならず、島民全員が"バスターコール"の対象になったと記載されている。
バスターコール。研修の時に名前だけは聞いていた。
島全体に根を下ろす巨大樹が炎に包まれている写真を見るに、やはり恐ろしく残酷なものに違いない。
生存者は
(この法は、誰を守るためのモノなんだろう)
当時のCP9長官──スパンダインさんは、どんな思いで電伝虫のボタンを押したのだろうか。
「……A秘書官、そろそろ休憩時間が終わりますぞ」
『！』
バスカビル裁判長からの時報に、すっかり考え込んでいた私はそそくさと裁判所を後にした。
「
指令室で静かにそう言うスパンダム長官だったが、その声は苛立ちに満ちていた。
『1週間、ですか？』
「そもそも5年きっかりの任務予定だったが、既に半年もオーバーしている。
こっちが下手に出て人まで寄越し続けてやったのに、結局"知らねェ"の一点張りと来た！
これ以上は流石に待てねェ。寛大なこのおれ様でもなァ！！！」
彼は左手の人差し指でデスクをわざとらしく叩きつつ右手にコーヒーカップを収め、勢い良く中身を喉に流し込む。
……
──ガッチャーン！
「ぶァっちゃあ！！！」
『長官！？"淹れたてです"って伝えましたよね！？』
「知るかよ！コーヒーをグビーッと飲みてェ気分だったんだ！！」
『……そしたら少し冷ましたの持ってきますから』
「コーヒーは熱々じゃなきゃダメだァ！！！」
相変わらず理不尽というか、横暴というか。
私は慣れた手つきでカップだったものを回収すると、再びコーヒーのため給仕室へと向かう。
あと1週間。
その間にアイスバーグさんが設計図を渡してくれなかったら……
(……傷ついてほしくない)
アイスバーグさんだけじゃない。パウリーさんやルルさん、タイルストンさん。
他にも気の良い人達が、あの街には沢山いる。
上の空な私の意識を連れ戻したのは、音を立てて沸騰したコーヒーケトルだった。
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なめこ(プロフ) - 綺世さん» 綺世さん、コメントありがとうございます！ルッチの魅力を伝えるのが中々難しかったので、そう言っていただけて嬉しいです〜……！機会がありましたら、次作の際も宜しくお願いします！ (2023年3月4日 9時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
綺世(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品に出会い、ルッチ推しになってしまいました。次作も楽しみにしています！執筆お疲れさまでした！ (2023年2月28日 14時) (レス) @page50 id: 782601e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - Jaさん» Jaさん、嬉しいお言葉ありがとうございます〜！長い作品なのにありがとうございます……笑 引き続き更新頑張って行きます！ (2023年2月1日 19時) (レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
Ja - とても面白くて昨日から一気読みしました！！更新これからも頑張ってください！！ (2023年2月1日 9時) (レス) @page40 id: f8125b9f7e (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 酢さん» 酢さん、ありがとうございます……ご満足いただけたようで何よりです笑 CP9沼の民の妄想に、最後までお付き合いいただけますと幸いです！ (2023年1月22日 16時) (レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2022年12月3日 15時
